令和7年2月25日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
『国際機関における我が国の歴史及び文化の情報発信等に関する質問主意書』
提出者 神谷宗幣
国際機関が我が国の歴史や文化、伝統を十分に理解せず、特定の基準や主張に偏った形で議論し、勧告が行われる場合が見受けられる。例えば、国連の女子差別撤廃委員会(以下「CEDAW」という。)による皇室典範の改正勧告は、我が国の二千年以上にわたる伝統に基づく皇位継承制度を十分に理解せず女性差別と結び付けたものであり、受け入れ難いものである。また、佐渡金山の世界文化遺産登録に際し、事実に反する主張が韓国から提起され、歴史的事実がゆがめられる可能性が生じた。
こうした国際機関における偏った勧告や主張に対し抗議するため、政府が具体的な行動を取ったことは評価できる。特に、外務省が令和七年一月二十九日、国連人権高等弁務官事務所を通じた拠出金の使途についてCEDAWを除外する方針を明確にしたことは、日本の立場を示す重要な意思表示であり、国際社会に対する日本の主張を明確にする一助となると考える。また、この方針は、我が国の歴史や文化、伝統に基づいた価値観を守るための一歩として、象徴的な意味を持つといえよう。
これらの事案の背景には、一部の外国政府やNGOが事実関係を十分精査しないまま主張している場合があることや、国際機関の審議システムが透明性や公平性を十分確保できていないことが挙げられる。他方、我が国が国際機関での議論の場で、自国の歴史や伝統について正確な情報を発信し、それを守る努力が十分であるとは言い難い側面もある。国際機関での議論の場におけるこれらの事案に対応し、我が国の正当な主張や歴史的事実を発信し続けることは、政府のみならず有識者や民間団体と連携して取り組むべき重要な課題である。
さらに、CEDAWへの拠出金停止措置が講じられたことを踏まえ、国際機関への拠出金について、その活動が我が国にとって有用か、我が国の立場や意向が十分に尊重されているかを基準に、今後も継続的に評価・検討を行う必要があると考える。
以上を前提に、以下質問する。
一 CEDAWへの拠出金停止措置を講じたことは、日本の立場を示す重要な行動であると評価するが、同時に皇室典範の改正勧告の背景にある偏った主張や誤った情報への具体的な対抗措置も必要であると考える。政府は、本事案を含む我が国の歴史や文化、伝統に対する偏った主張に対して、今後どのように是正を求めるのか示されたい。また、既に実施された是正を求める対応について、その効果をどのように評価しているのか示されたい。
二 国際機関における議論や勧告が特定の国や団体の主張に過度に影響を受けている点について指摘されているが、これまで公平性や透明性を向上させるための提案や働きかけを政府は行ったことがあるのか示されたい。行ったことがある場合は、その提案や働きかけの成果及び課題について具体的に示されたい。また、国際機関における審議の過程で事実に基づかない情報や偏った主張が反映されることを防ぐため、今後どのように対応していくのか示されたい。
三 日本が拠出している国際機関について、これまでの活動内容が日本にとって有用であったか、我が国の立場や意向が十分に尊重されてきたかという観点から評価を行い、支出基準を再検討する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。また、政府として、今後どのような基準で国際機関への拠出を判断するのか示されたい。
四 我が国の歴史や文化に関し、国際社会において誤った情報や偏った主張が広まることを防ぎ、正確な情報を発信することが求められる。政府は、こうした課題に対し、どのような戦略を持ち、具体的な施策を講じているのか示されたい。特に、国際機関での議論において日本の主張が適切に反映されるよう、どのような働きかけを行っているのか示されたい。さらに、有識者や民間団体との連携や情報発信の強化をどのように進めていくのか政府の見解を示されたい。
五 佐渡金山の世界文化遺産登録に際し、「強制労働」をめぐる認識について韓国から日本の立場と異なる主張がなされた。この状況を受け、佐渡金山の歴史的事実を国際社会に正確に伝えるため、政府はどのような措置を講じているのか示されたい。また、歴史認識の相違が国際的な議論や博物館等における展示内容に影響を及ぼさないよう、今後どのように対応する方針か示されたい。
右質問する。