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2025.4.08

中国の反スパイ法等に基づく日本人及び在日中国人の拘束事案に係る危機意識の喚起と政府対応に関する質問主意書

令和7年4月8日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。

『中国の反スパイ法等に基づく日本人及び在日中国人の拘束事案に係る危機意識の喚起と政府対応に関する質問主意書』

提出者 神谷宗幣

 中国における二〇一四年の「反スパイ法」施行以降、少なくとも十七名以上の日本人がスパイ行為などの容疑で拘束されており、容疑の具体的内容や証拠の提示もないまま、長期にわたって勾留されている。さらに、二〇二三年七月の改正反スパイ法の施行により、「国家の安全を害するおそれのある行為」が新たに取締り対象として加えられたことで、企業活動、学術調査、文化交流など、通常の民間活動についても摘発のリスクが生じている。また、反スパイ法に関連して、中国当局が設置した「秘密警察拠点」が国際的にも問題視されている。報道によれば、中国当局は、これらの拠点を通じて在日中国人を監視し、中国帰国時に拘束・尋問する事例が確認されている。米司法省は二〇二四年十二月、ニューヨーク市で中国の「海外警察署」を運営していたアメリカ市民が、中国当局の工作員として活動していたことを認めたと発表しており、人権団体は、中国当局がこうした海外拠点を通じて、外国在住の中国人に対する脅迫・監視を行っていると非難している。

 我が国でも中国の「秘密警察拠点」の存在が確認されており、中国当局が反スパイ法を根拠として、在日中国人のみならず日本人に関する情報収集も行っている可能性が指摘されている。これらの動向は、日本の主権及び法秩序に対する重大な侵害であり、同時に日本人及び在日中国人の安全と人権を著しく脅かすものである。しかし、政府による国民への危機意識の喚起、中国渡航時の注意喚起や安全対策などは十分とは言い難く、現行の「危険情報」の内容が現在の実態に即しているかについても疑問が残る。

 政府には、これらの問題に対し、より強い危機意識を持って国民への注意喚起、法的及び外交的対応を講ずるとともに、情報発信や民間団体との連携を含む包括的な体制の整備が強く求められる。

 以上を踏まえ、以下質問する。

 
中国における反スパイ法の運用に関連し、二〇一四年以降、現時点までに中国において拘束された日本人の人数及び政府が把握している範囲における各事案の概要について明らかにされたい。また、同期間において、中国に渡航後、同様に拘束された在日中国人(日本に居住していた者)に係る事例の有無及び人数についても示されたい。

二 
中国における反スパイ法の運用に関連し、容疑の具体的説明や証拠の提示が不十分なまま、日本人が長期間拘束される事例が報告されている。こうした拘束の実態を踏まえ、同様の事案が今後も発生する可能性について政府はどのように認識しているか示されたい。また、現在の「危険情報」が現状に即したものとなっていると考えるか示されたい。

 
中国に渡航する日本人(渡航者、駐在員、研究者、観光客等)に対し、反スパイ法に基づく拘束リスクや監視体制に関する情報提供・注意喚起を政府としてどのように実施しているか示されたい。また、危険情報の見直し、ACジャパンなどを通じた国民への注意喚起の徹底など、今後の改善策を示されたい。

 在日中国人が中国当局の監視対象となり、帰国時に拘束・尋問を受ける事例が報じられている。これらの事例を放置することが、今後、日本の法秩序や主権にどのような悪影響を及ぼすか政府の見解を示されたい。

 
中国国内で拘束された日本人に対し、迅速かつ実効的な対応を図るため、在外公館による支援に加え、人質交渉や国際人権保護の分野に知見を有する民間団体とも連携を強化し、包括的な支援体制を構築すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

 
中国における日本人の拘束事案は、理由も明示されず一方的に拘束されるという意味で、第二の拉致事件とも言うべき深刻な問題である。我が国の主権を侵害しかねないこの状況に対し、政府としてこれまでどのような外交的・法的対応を講じてきたのか、また、被拘束者の解放を実現するために、どのような具体的方針を定め、取組を行っているのか明らかにされたい。あわせて、これまでの拘束事例について、政府として事例ごとの調査・分析を行っているのか示されたい。行っている場合は、その実施状況及び結果について、政府は公表すべきと考えるが政府の見解を示されたい。

 
中国における日本人の拘束事案が繰り返される現状を踏まえ、我が国として、国民の安全確保及び被害抑止の観点から、中国国籍者の入国制限や査証審査の厳格化などの必要な措置を検討しているか示されたい。

 右質問する。

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