令和7年6月20日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
『「経営・管理」の在留資格を悪用した外国人移住の実態に関する再質問主意書』
提出者:神谷宗幣
私が提出した「「経営・管理」の在留資格を悪用した外国人移住の実態に関する質問主意書」(第二百十七回国会質問第七〇号。以下「本件質問主意書」という。)に対する答弁書(内閣参質二一七第七〇号。以下「本件答弁書」という。)では、「具体的に意味するところが必ずしも明らかではない」との理由により、実質的な答弁がなされなかった。しかし、国会法(昭和二十二年法律第七十九号)の趣旨に照らすならば、政府には国会議員から提出された質問主意書に対して、誠実かつ明確に答弁する責務がある。
本件質問主意書は、在留資格制度の悪用による外国人の移住の実態について政府の危機認識を質問しており、その答弁を通じて、広く国民に実情を周知し制度の改善に資することを目的としている。国家の安全保障や国民の生命・生活に関わる重大な質問に対して「具体的に意味するところが明らかではない」といった曖昧な表現により具体的な答弁をしない政府の対応は、国会法の趣旨に照らして極めて不誠実なものであると言わざるを得ない。これは、国民の負託を受けた国会議員の質問権を軽視するのみならず、政府としての危機感及び当事者意識の欠如を露呈するものであり、結果として、国民の不安を助長している。
令和七年四月二十一日付の読売新聞オンライン記事「「簡単に取れる」日本のビザ、中国人からの相談殺到 食い物にする「移民ブローカー」の存在」では、経営・管理ビザ制度が実質的に形骸化し、実態のないペーパーカンパニーの設立や「ビザと住居のセット販売」などを通じた制度の悪用事例が紹介されており、「経営・管理」の在留資格の悪用がビジネスとして横行している実態が詳細に報じられている。特に、中国のSNS上では、「簡単に取れる」、「マニュアル付きで安心」といった文言が拡散され、移住を目的とした「経営・管理」の実態を伴わない形式的な申請が拡大している状況が明らかとなっている。こうした報道を通じて制度の脆弱性が広く認知される中、国民の間では、制度の悪用が放置されていることへの危機意識や不安感が日増しに高まっている。それにもかかわらず、政府が本件答弁書において記したような要点を外した責任回避的な回答は、質問権に対する答弁の誠実さを欠くだけでなく、制度の信頼回復に向けた真摯な取組が見受けられず、国民の疑念と不満を更に助長するものであると考える。
質問主意書は、禅問答のような抽象論ではなく、立法府が行政府に対し説明責任を果たさせるための正当な制度的手段である。その本来の趣旨を政府は正しく理解し、真摯かつ具体的な答弁をもって国民に対する責任を果たすべきである。
以上を踏まえて、以下質問する。
一
政府は本件質問主意書に対し、具体的に意味するところが明らかではないと繰り返し答弁しているが、これは事実上、質問の趣旨に答える意思がないことを意味し、極めて不誠実な対応であると考える。特に、本件質問主意書の質問一では、経営に関与しない外国人が経営・管理の在留資格を取得しているケースに関する政府の把握状況や摘発事案の件数を質問したが、本件答弁書において「摘発された事案や件数」について一切答えておらず、行政の情報収集・分析能力に疑問を呈さざるを得ない。
二
本件質問主意書では、ペーパーカンパニーを用いた虚偽申請や斡旋業者の存在について質問したが、本件答弁書では「具体的に意味するところが明らかではない」として誠実に答弁していない。現に、報道等ではこうした実態が繰り返し指摘されている。また、外国人向けSNS等でも堂々と「簡単に取れる」、「名義貸しで安心」といった文言が拡散されている
三
本件質問主意書の質問三では、法人登記制度の脆弱性を背景とした在留資格制度の悪用に関する実態審査や登記後の事業活動の監視制度導入の検討状況を質問したが、本件答弁書では「導入することは考えていない」との答弁であった。
四
本件答弁書の「四について」では、「医療目的の不正移住」に関しては、令和七年二月四日の衆議院予算委員会における厚生労働大臣の国会答弁を引用し当該対策について答弁していたが、具体的な実効性がある制度的対応については答弁していない。
五
中国の「国防動員法」や「国家情報法」などに基づく、海外在住中国人に対する指示義務について、政府は「他国の法律」であることを理由に言及を避けているが、他国の法律であっても日本国内の治安や国家主権に影響を及ぼす可能性がある場合には、政府として何らかの見解を示すべきと考える。
六
特区民泊の運営を通じた「経営・管理」在留資格の取得の実態について、報道により指摘されており、SNSなどでも広く情報が共有されている。当該問題について「具体的に意味するところが明らかではない」として答弁をしないのは、現実の運用実態を直視していない証左であると考える。
右質問する。