食料自給率を内訳で考える|食料自給率について(2)|えざきさなえ

品目別で見てみる食糧自給率

自給率を品目別でみてみると、お米はほぼ100%ですが、

お米の消費量自体が落ち込んでいる中、自給率の低い他の品目が占めてきているため、全体の自給率が引きずられるように落ちてしまっています。

お米の代替となる小麦が増えたためとも考えられますが、肉や油の比重も大きく、食の西洋化によって自給していない品目が増えたことで、自給率の低下に影響してしまっていると考えられます。

こちらの厚生労働省の資料においても、タンパク質の摂取が下がり、脂肪エネルギーが年々上昇しているところから、お米を食べる機会が減り、肉類を食べるようになった傾向がみてとれます。

この状況から考えると、カロリーの高い油脂類や肉の自給率を上げれば、カロリーベースの自給率は劇的に改善されるように見えますが、牛や豚を育てるには時間がかかり、飼料が必要です。この飼料は海外産に頼っていることが多いため、実質的な国内自給率の向上には寄与しません。

日本食への回帰で向上する自給率

食の西洋化が問題であるとすれば、日本食にしてみるとどうでしょうか?

お米の他に野菜の自給率も75%と高いことから、魚を加えた日本食にしてみると、米(99%)、野菜(75%)、魚(49%)となりますので、概算ですが自然と自給率は上がってくると考えられます。

【自給率× 1食でのカロリーの構成比 = 1食での自給率】
 米(99%) × 230キロカロリー(36%) =  35.64
 魚(49%) × 150キロカロリー(24%) =  11.75
納豆(25%) × 100キロカロリー(16%) =  4
野菜類(75%)× 100キロカロリー(16%) =  12
味噌汁(25%)× 50キロカロリー(8%) =  2
=65.39%

実際の食料自給率は10%未満

ただし、75%と高い自給率の日本の野菜の種子(タネ)の9割、肥料の10割近くは、海外からの輸入に頼っています。

種子については日本の企業が販売していることも多いのですが、日本の企業が海外で生産していたり、海外の企業に生産を委託しているため、結局のところ、輸入していると言わざるを得ません。

また、鳥においても同様で、ヒナのほとんどが海外から仕入れ、その餌となるトウモロコシなどの飼料も輸入に依存していることから、日本国内単独での食料生産は厳しい状況です。

これらを踏まえた東京大学鈴木宜弘教授の試算では、実質の食料自給率は8%と言われています。

危機的状況下での日本の餓死者は7200万人

また、米国ラトガース大学の試算では、世界に核戦争が起こり、世界的の食料生産が滞った場合、世界全体で2.55億人の餓死者が発生し、その約3割にあたる7200万人が、日本の餓死者になると推定されています。

日本の人口は減少していく一方、世界の人口は増加しているため、世界的危機に陥った場合、輸入による食料の確保がさらに厳しくなることは、想像に難くありません。

実際、昨今のウクライナでの紛争を契機に、インドでは輸出を制限するようになってきており、中国、ロシアは肥料の輸出を止めるようになった結果、飼料の価格は倍になりました。

また、特に日本は海に囲まれていることから、海洋が封鎖されるような危機が訪れると、全く生産ができなくなってしまうのです。

東京の自給率は0%

さらに、私たちが住んでいる東京では、自給率が0%となっています。

集中している人口に対して、農産物の生産地が圧倒的に少ないためです。

食料「持久力」として、臨時的に耕作地を拡充する計画もありますが、やはり東京で作ることができる面積には限界があります。真っ先に飢餓の危機にさらされるのは、東京に住んでいる私たちではないでしょうか。

[出典]農林水産省:令和3年度(概算値)、令和2年度(確定値)の都道府県別食料自給率

また、最悪の事態では食料の配給制となると思いますが、輸送に必要なエネルギー自給率も高くない我が国において、全国から食料を徴収し、人口過密な東京において平均して配分する構図が思い描けません。

非常時の対応とは盤石な体制の上に築くべきであって、不足な状態に非常時の対応を積み重ねても、それはもろく崩れ去ってしまうものでしょう。

種子も「特定重要物資」の指定に

もちろん、日本政府は何もしていないわけではなく、飼料用の米の生産、国内での肥料の確保などの改善が進められています。

2022年5月に制定された「経済安全保障推進法」に基づき、肥料が「特定重要物資」に指定されました。

しかし、その内容は対象となる肥料の国内備蓄3か月分に対して助成する制度で、その効果は限定的です。

これで国民の命を守ることができると考えているのか不安はありますが、

この特定重要物資の指定は、『重要物資の「安定的な供給」の確保を目的とし、国民の生存に必要不可欠で、国民生活に依拠しているものが指定される』ということですので、当然、ここに種子(タネ)も入れることができると考えます。

先述のとおり、種子を販売している日本企業は海外で種を生産しているとのことなので、国内生産に回帰した場合に対して助成を行うことにより、種子の自給率の向上を見込めるのではないでしょうか?

付け焼き刃的な対応では国民の命を守ることはできません。
盤石な国家運営のために、自給率を高めておくべきでしょう。

皆様こんにちは。江崎さなえと申します。私は今まで政治に無関心な国民の一人でした。 しかし、コロナ騒動で暮らしの根本が政治によって大きく変わり、政治に無関心でも無関係ではいられないことを痛感し、今まで当たり前だった大切なものに気づくことができました。 私は人と人とのつながりを大切にし、すべての個性が輝く豊かな社会をつくり、次世代により良い日本を引き継いでいきます。

江崎 さなえ
東京第28区国政改革委員
東京都城北支部連合会