日本の果物のピンチ?梨農家さんをレポートしてきました✋
市原市議会議員 中島 拓
こんにちは。千葉県市原市議会議員の中島 拓です。
今回の学びの部屋では、日本の果樹農家の現状を伝えさせて下さい。

みなさんは、一昨年の夏に梨とリンゴの“受粉用の花粉”が中国から輸入停止となった事をご存知でしょうか?
(中国で『火傷病』という果樹の病気が発生したため)
私は、日本の農業が種や飼料だけでなく、花粉までも外国に依存していた事をこのニュースで初めて知りました。
一度、花粉が輸入停止となると、少なくとも10年、20年スパンで中国からの輸入は行えなくなります。
突然、しかも長期間にわたり花粉の輸入ができなくなるという事は、どのような意味を持つのでしょうか。
『授粉ができなければ実がならない。日本の梨やリンゴが店頭から消えてしまうのではないか…』
『負担が増えて農家の廃業が加速してしまうのではないか…』
当時、関係者からはこのような不安の声が聞かれました。
その年の11月、ようやく国から助成制度(国産花粉緊急確保実証事業)も発表されたため、私は現場の状況を把握するために地元の梨農家、市、県、JAなど関係部署を訪ねて回りました。

現場を周ってみてわかったこと
●現状、千葉県の梨農家の約7割が中国産の花粉を購入している(市原市に至ってはほとんどの農家が中国産の花粉を使っている)。
●中国以外の国からの花粉の輸入は見込めない(以前他の国からも輸入していたが、病気が発生し既に輸入停止となっている)。
●自然受粉やミツバチを利用した受粉も可能だが、その年の気温に左右される懸念がある(受粉期が低温だった場合、寒さで昆虫が活動しない等)。
●国内の花粉を取り寄せて人工授粉を行う事ができれば確実だが、他産地の花粉入手は期待できない(需要と供給量のバランスから)。
●自分達で花粉を自家採取する場合、早期に花が咲く品種を犠牲にして実をならさずに花粉の採取を行う。更に翌年分の花粉も確保しなければならない(膨大な作業負担)。
●春の気候によっては、本来順々に咲くはずの花が、一斉に咲く可能性もある。その場合、かなりの短期間で作業を行わなければならない。
●花粉の自家採取には専用の機械が必要。全ての産地が確保する事は難しいのではないか(機械を生産している会社が現在国内に1社のみ。市原市はJA市原が早期に動いて下さったため確保できた)。
などなど...
それらを踏まえて特に重要なポイントは以下の3点。
① 花粉をどれだけ揃えられるか
② 人手が足りるかどうか
③ 来年用の花粉を確保できるか
『実際に春の授粉期(桜の咲く3月下旬頃)になってみなければわからないが、昔は夜なべしてでも作業していた。やるしかない。』
そんな農家さん達の強い決意を聞き、私も梨農家さんのもとで一緒に花粉採取のお手伝いをさせていただく事をお願いしました。
いよいよ迎えた春の授粉期
果樹園は美しく梨の花を咲かせていました。
日中は花を摘むチームと授粉作業を行うチームに別れ、夜は花を選別する機械で花粉(花の中心にある小さな赤い粒)を取り出します。
授粉の期間は短く、花が咲きすぎては授粉しづらくなります。
雨で作業ができない日もあります。
私がお手伝いに行った日、農家さんご夫婦は寝ずに作業を行っていました。
授粉期を終えて、結果的には翌年の花粉の確保まではできませんでしたが、何とか全ての木に授粉を終える事ができました。
花粉採取と授粉作業は引き続き今後の梨農家さんにとっての大きな課題です。




おわりに
給食にも登場する甘くて美味しい日本の果物。
私たちのもとに届くまでには、農家さんの様々な努力や苦労の積み重ねがある事を知る事ができました。
皆さんの地域にはどのような農家さんがいらっしゃるでしょうか。
私たちのもとに食べ物が届くまでにはどれだけの方が関わっているでしょうか。
日本の食べ物が給食や店頭に並ぶ事は当たり前ではないと、改めて噛みしめて感謝を込めて戴きたいですね。
『いただきます』『ごちそうさまでした』