国の給食無償化と市町村現場の課題
文責:熊本県議会議員 高井ちとせ
参政党給食プロジェクトのメンバーで参議院議員・後藤翔太議員に、厚労省・農水省・文科省へお話を伺う機会をつくっていただきました。
そもそも学校給食は「学校給食法」に基づいて実施されますが、その実施は市町村の【努力義務】です。
市町村が主体となり、第1条から第14条までの学校給食法の規定に基づいて運営しています。
また、学校給食行政は文部科学省が所管する“例外的な食品行政”ではありますが、厚労省・農水省が関わる分野とも重なっています。
● 第8条(学校給食実施基準):厚労省の「健康増進法」と連動
● 第9条(学校給食衛生管理基準):厚労省の「食品衛生法」と連動
● 第10条(食育):農水省の「食育基本法」と連動
上記について、各省庁へ直接伺いました。
そして、今回いちばん聞きたかったのが、文科省に対する給食無償化についてです。
現在、施設・人件費は学校設置者、食材費は保護者の負担になっています。
(自治体によっては食材費を無償化しているところもあります。)
しかし、令和8年度から小学校を先行して、国による給食無償化が実施される予定です。
これは、自民・公明・維新の3党合意でも、自民・維新の連立合意でも明記され、実施される方向です。
「無償化」と聞くと一見すると良いように思えます。
しかし、都市部(食料需要圏)と地方(食料供給圏)では、食材費や調達の課題は大きく異なります。
その中で、どのように制度設計されるのかが問われます。
食材費が高騰する中で、「国からはこの額しか出ません」となると、その範囲でやりくりせざるを得ず、質や量の低下につながりかねません。
全国一律で国が無償化を行う以上、「値上がり分だけ保護者から徴収する」ということは、おそらく難しくなるでしょう。
そうなると、
● 質や量を下げる
● 自治体が追加負担する
という選択を迫られる可能性があります。
(大量ロットの安価な食材に偏ったり、輸入冷凍野菜の比率が増えたりする懸念もあります。)
給食は、1日3食のうちの1食。
つまり、子どもの身体の1/3は給食でつくられていると言っても過言ではありません。
いちばん重要なのは、給食の「質」と「量」を確実に担保し、さらに向上させていくこと。
そして、地場産食材を積極的に活用し、地域の農林水産業を守っていくことです。
現在、国で制度設計が進められていますが、実際の現場は市町村です。
私もいち地方議員として、仲間と情報共有をしながら、しっかりと目配りし、自治体現場の声が国に届くよう努めてまいります。

