令和7年6月2日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
『中国製太陽光パネルに内蔵された通信機器及び日本のエネルギー安全保障上の対応に関する質問主意書』
提出者 神谷宗幣
ロイター通信は令和七年五月十四日、米国国内に設置された中国製の太陽光発電用インバーターや蓄電池に、仕様書に記載されていない不審な通信機器(セルラー無線を含む)が内蔵されていたことを報道した。当該通信機器については、ファイアウォール等の通常のサイバーセキュリティ対策を回避し遠隔アクセスが可能な構造であり、悪用された場合、太陽光発電用インバーターの出力制御やスイッチの強制操作等を通じて送電に障害を与え、電力供給の不安定化や広範な停電を引き起こすおそれがあるとしている。
米国エネルギー省は、前記報道に関連し、製品機能の透明性を確保するためにSBOM(Software Bill of Materials,ソフトウェア部品表)の導入を含む対策の重要性を認識している旨表明している。また、米国連邦議会では、中国製の太陽光発電用インバーターや蓄電池などのインフラ機器に対する制限を目的とした複数の法案が下院を通過しており、法的対応も進んでいる。
さらに、欧州諸国の一部においても、再生可能エネルギー関連設備に対する同様のリスクに着目し、安全保障上の規制導入を進めている。令和六年十一月には、リトアニア議会が、百キロワットを超える太陽光発電設備や蓄電設備について、国家安全保障上の脅威とされる外国からの遠隔アクセスを制限する法律を可決している。
一方、日本国内においては、民間事業者による太陽光発電設備の導入が全国で進められており、自衛隊及び在日米軍の施設周辺にも多くの太陽光パネルが設置されている。その一部には、軍需産業に関わりの深い中国企業で製造されたと考えられる製品が含まれていることも確認されており、これらの設備がサイバー攻撃や情報収集、妨害工作等の手段として悪用される可能性を排除できない。
このような現状を踏まえると、再生可能エネルギーの導入を進めるのであれば、使用される機器の出所や機能に対する透明性を高めるとともに、安全保障上の観点からのリスク評価及び管理体制の強化が喫緊の課題であると考える。
以上を踏まえ、以下質問する。
一
前記報道及び米国エネルギー省の見解について、政府として事実確認及び情報収集を行っているか示されたい。行っている場合はその内容及び政府としての評価を示されたい。
二
日本国内に設置されている太陽光発電設備のうち、中国製の太陽光発電用インバーター又は蓄電池に仕様外の通信機器等が内蔵されている可能性について、政府の見解を示されたい。また、当該通信機器に関する調査を実施しているか示されたい。
三
自衛隊及び在日米軍の施設周辺に設置された太陽光パネルについて、製造元を把握しているか示されたい。特に、中国企業が製造したと考えられる機器が含まれている可能性について、政府の見解を示されたい。
四
再生可能エネルギー関連設備に関し、米国で検討されているSBOMのような機能開示義務制度について、我が国においても導入する考えはあるか示されたい。
五
再生可能エネルギー関連設備の調達において、安全保障上の観点から輸入元・製造者に関する審査制度を強化し、特定の外国企業による製品の排除を可能とする制度を整備する考えはあるか示されたい。
右質問する。