令和7年6月4日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
『自然な出産の選択と助産師体制の強化に関する質問主意書』
提出者 吉川りな
我が国では、助産師が妊娠期から産後まで母子に寄り添い、自然な出産を支える専門職として重要な役割を果たしてきた。世界保健機関をはじめとする国際的潮流においても、助産師による継続的支援の有効性が広く認識されている。
現在、出産リテラシーの低下が指摘される中、助産師の果たす役割はますます重要性を増している。地域包括ケアの一環として、妊娠・出産から育児に至るまで切れ目のない支援体制を構築する上でも、助産師の専門性を活かす取組が不可欠であると考える。
また、出産の医療化が進み、無償化が議論される中にあっても、自然な出産の価値にもしっかりと目を向ける必要がある。医療的介入を伴わない自然な出産を希望する妊婦の選択的な出産環境を保障することは、多様性の尊重という観点からも重要である。その担い手である助産師の専門性を活かした体制の維持・強化は不可欠な政策課題であると考える。
現在、出産費用の保険適用が検討されているが、診療報酬の設計次第では、助産師による支援体制の縮小を招き、更には出産医療の地域偏在や医療機関への一極集中が進行しかねない。その結果、助産院など地域に根ざした小規模施設が淘汰され、社会的インフラとしての出産環境の多様性が失われる可能性も懸念される。こうした事態は、出産環境の不安定化を招き、結果として少子化対策にも逆行するおそれがあると考える。
出産は単なる医療行為にとどまらず、母親の人生に深く関わる重要な経験である。すべての妊婦が「よい出産だった」と感じられるよう、助産師による支援体制を含めた制度整備を国として主体的に推進すべきであると考える。
以上を前提に、政府に対し質問する。
一
妊娠・出産に関する知識の低下が指摘される中、助産師による継続的な支援の重要性が増していると考える。政府として、妊婦教育・産前産後ケア等の現場における助産師の専門性を活かすため、どのような人材配置や育成施策をそれぞれ検討しているか。
二
自然な出産を希望する妊婦の選択肢を確保する観点から、助産師主導の出産支援体制を維持・強化する制度的・財政的支援が必要と考えるが、政府の基本方針と具体的な対応をそれぞれ伺う。
三
助産院や小規模な出産施設が果たしてきた役割の維持と発展に向けて、地域における出産環境の多様性を保障する観点から、どのような支援策を講じていくのか。
四
出産費用の保険適用に際して、診療報酬制度が助産師の活動を不利に扱うことのないよう配慮すべきと考えるが、この点に関する政府の認識を伺う。
五
自然な出産の意義を尊重し、助産師による支援を含めた多様な出産支援体制を、政府としてどのように位置付け、今後どのように維持・強化していく考えか。基本的な方針を示されたい。
右質問する。