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2025.6.26

宇久島における風力発電計画と環境影響評価制度に関する質問主意書

令和7年6月17日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。

『宇久島における風力発電計画と環境影響評価制度に関する質問主意書』

提出者:吉川りな

 長崎県の宇久島において、大規模な風力発電計画が進められている。この風力発電計画は、平成二十六年に環境影響評価の準備書が提出されたものの、その後長らく手続が停滞していたが、令和七年に入り、事業者が住民説明会を実施し、現在は評価書の提出に向けた準備を進めていると説明している。

 本計画については、平成二十七年当時、環境大臣が、生活環境・動植物・景観に対する深刻な影響を懸念して、配置の変更または設置の取りやめを求める厳しい意見を示しており、併せて経済産業大臣も、風車数や配置の再検討、住民意見の反映を求める勧告を行っていた。

 宇久島は「特定有人国境離島地域」に指定されており、定住の確保や地域保全は国の政策課題である。しかし、令和七年に説明された計画では、平成二十六年当時の環境影響評価の準備書に比べ、風車の基数を五十基から二十六基に減らしつつ、一基当たりの出力および規模を約二倍とする「大型化」がなされている。この結果、物理的な高さや回転半径の拡大により、島全体が騒音・低周波音の影響圏内に入る可能性があるとの指摘もあり、住環境への深刻な影響が懸念されている。

 また、現行の環境影響評価制度においては、意見や勧告の実施状況を政府が確認する明確な仕組みが存在せず、長期停止後に再評価を求める制度も整っていない。結果として、重要な懸念が置き去りにされたまま、形式的に手続が進行してしまうおそれがある。加えて、環境大臣の意見や住民の声が十分に反映されないまま、評価書の提出後ただちに着工へと進む可能性についても、地元では強い懸念が示されている。

 以上を前提に、以下質問する。

 
宇久島風力発電事業については、平成二十七年に環境大臣が騒音・動植物・風車の影・国立公園の景観への影響を理由として、「配置の変更または設置の取りやめを求める」意見を正式に表明している。また、同時に経済産業大臣も、風車の数や配置の再検討、住民意見の反映などを求める勧告を行っていた。令和七年に評価書の提出に向けた準備が進められていることを踏まえ、これらの意見・勧告がどのように反映されたかについて、政府は具体的に確認しているのか。その確認方法および反映された内容を明らかにされたい。

 
これらの意見・勧告に反する内容が評価書に含まれていた場合でも、それを理由に手続を停止・修正させる仕組みが存在せず、手続がそのまま進行してしまうのであれば、環境影響評価制度そのものが、意見・勧告が実効性を持たない構造になっているのではないか。環境大臣や経済産業大臣が出した意見や勧告が、実際に計画に反映されるようにするための仕組みはあるのか。また、意見を履行したかどうかを確かめる手立てや、長期間手続が止まっていた計画を再開する際には、調査や評価をやり直す仕組みを取り入れるべきではないか。

 
宇久島は特定有人国境離島地域に指定され、定住の確保および地域の保全が国の政策目標とされている地域である。そのような地域において、当初よりも大型化された風車が設置される計画に変更された結果、島全体が騒音・低周波音の影響圏内に入るおそれがあるとの指摘がある。政府は、住民の生活環境や健康への影響をどのように把握しているのか。また、住民の生活環境や健康への影響について、事前に予防的措置を講じ、十分な住民の合意形成を担保する仕組みが必要と考えるが、政府としてその必要性をどのように認識しているか。

 
令和六年十一月十一日提出の質問主意書第四号に関し、再質問する。


質問三では、「大規模太陽光発電所のCO2吸収量」の具体的に意味するところが明らかではないとの答弁であり、明確ではなかった。この点、「大規模太陽光発電所のCO2吸収量」とは、当該発電所の設置に伴い伐採された森林が本来有していたCO2吸収機能と、発電によって削減されるとされるCO2排出量とを比較し、その環境影響を評価するための視点である。森林伐採を伴う開発行為が「脱素」政策の名のもとに進められているのであるから、その整合性や環境上の実質的効果は、政府自身の政策方針と照らしても、慎重に検証されるべきである。
そこで、政府は、宇久島の太陽光発電所計画について、森林の伐採によるCO2吸収機能の喪失と、発電による排出削減効果との関係をどのように評価しているのか。また、そうした損益評価の基準や手法を有しているのかどうかについて明らかにされたい。


質問四では、「太陽光発電等の再生エネルギー発電施設設置計画」の具体的に意味するところが明らかではないとの答弁であった。ここで言う「太陽光発電等の再生エネルギー発電施設設置計画」とは、国のエネルギー政策の枠組みにおいて、FIT制度を通じた支援対象として接続・認定が進められる新規の再エネ発電設備、特に九州など出力抑制が常態化している地域などにおいて、今後系統接続や建設が予定されている事業計画群を意味する。

その上で、下記について明らかにされたい。

(ア)
出力抑制が常態化している地域において、新たに系統接続・設置される再生可能エネルギー発電施設について、政府としては引き続き積極的な導入を促進する方針なのか、それとも地域の需給状況を踏まえた抑制・調整の必要性を認識しているのか。

(イ)
前述のような出力抑制の深刻化を踏まえ、特に抑制が高水準で続いている地域においては、電力の需給調整を円滑に行うため、大規模な太陽光発電設備等に蓄電池の併設を求めることも検討すべきではないか。政府として、このような対応の必要性をどのように考えているか。また、蓄電池の併設には極めて高額な初期費用が必要とされるが、その導入を促進するために必要と見込まれる予算規模や、具体的な支援策の方針についても示されたい。

 右質問する。

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