参政党 国会統括部 政策本部
令和7年6月22日、第217回通常国会が閉会しました。国会議員4名の体制で臨んだ初めての通常国会では、以前にも増して充実した活動を行いました。
以下、その成果と活動内容について、報告いたします。
今(217回)国会では、成立した法案が75本ありました(内訳は内閣提出法案(閣法)58本、議員立法(議法)17本)。
参政党は、法案の賛否を審査する参政党・政調会議を開催し、国会に提出されたすべての法案の審査を実施しました。この政調会議は、我が党国会議員全員が一同に会して、各法案を所管する担当省庁(議法は衆参法制局)から法案の内容を聴取して質疑応答も交えながら審査を行うものです(参政党結党以来初の審査体制)。また、政策秘書を中心に秘書会も政調会議の前に法案内容を聴取して、秘書会の意見具申を政調会議に行っています。さらには、最重要法案や参政党の政策に深く関連する法案については、二次審査の政調会議も実施しました。なお、各国会議員が自ら所属する委員会に付託された法案については別途、法案の内容を聴取しています。
その結果、参政党は、24本の法案に反対をして衆参本会議の議決に臨みました。なお反対した法案の反対理由について、一覧表を作成してこれを公開します。
神谷代表が所属する財政金融委員会では、所得税法、国際開発協会(IDA)及び米州投資公社加盟措置法、特別会計法などの審議があり、合計19回(4時間29分)の委員会質問を行いました。
特に、「国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律及び米州投資公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案」については、以下の点から反対討論を行いました。
・我が国の財政・経済状況が不況の中で多額の海外援助を続けるのは国益にかなっていないこと
・一番の出資国であるアメリカが海外援助の在り方等の見直しを図っており、我が国もアメリカと歩調を合わせて海外援助の在り方等を見直す必要があること
また会期末には野党7党で提出したガソリン減税法の審議があり、衆議院で可決され、参議院財政金融委員会で質疑まで進めましたが、採決を行わずに閉会を迎えたことに遺憾でなりません。
昨年の衆院選の結果を受けて、我が党は衆議院において3名による「参政党」会派を結成しました。これにより、これまで以上に他党他会派との交渉や調整が必要となったことから、いわゆる国会対策員長、政務調査会長の機能を兼ね備えた“院内総務”という役職を新たに設置、会派を代表し法案の扱いなどに関して他の会派と協議・調整を行いました。
衆議院ではあまり注目されない委員会ですが、国会の歳出に無駄があるようであれば、次年度予算策定の段階で排除する必要があります。従って国会における決算行政監視委員会の職責は重く、予算委員会に負けずとも劣らない重要な議論の場です。質疑では、令和3年の特別定額給付金の支給に伴う効果測定が十分に行われていなかったことを例に挙げ、データの不足、偏りの無視など政府が給付金を「貯蓄に回ったために効果がない」と判断することは不可能であるとの議論を行いました。
また、この議論の数週間後に、自ら効果がないとしていた、「給付による全国民向けの2万円の給付」が自民党の参院選公約に掲げられたことは、政府のいい加減な姿勢を表す好例です。
我が会派は特別委員会に所属議員がおりませんが、院内総務として、衆議院先例に基づき委員ではない議員を特別に招集して意見を聴取する制度の適用を提案し、令和初の委員外発言が許可されました。これにより、選挙ポスターの品位保持規定に関する公職選挙法の改正案について、会派を代表して委員外発言を行いました。質疑では実際の現場での取り締まりや地域差を鑑みて、個別事案判断にはガイドラインが不可欠であることを指摘しました。また、本法案は我が会派も共同提出しており、他会派の通告に基づき、衆参両院の特別委員会にて答弁も行いました。
北野議員が所属する環境委員会では、鳥獣保護管理法改正や環境影響評価法改正についての審議がありました。特に環境影響評価法改正法については、環境保全の実効性観点から以下の経緯の通り反対しました。
同法は施行から25年以上経過し、環境影響評価の手続き対象工作物が建替え時期を迎えるため、手続きに用いる配慮書を簡略化し事業者負担を軽減する改正案が提出されました。しかしそもそも現行法は、環境の変化に対する調査が不十分であることや、手続き過程で地域住民が十分参加出来ていないことから各地で反対運動が起きています。現状のまま建替え手続きを簡略化する本改正案は、環境保全への適正な配慮に欠けると判断し反対しました。
法務委員会では、刑訴法改正を含む5本の閣法を審議しました。少数会派ゆえに発言時間は限られましたが、計20回・3時間54分にわたり質問し、附帯決議にも提案を反映させました。
技術流出、スパイ防止、入国審査の強化、移民ブローカー、外国人による不動産取得、不起訴の偏りなど、我が党ならではの視点から問題提起を行いました。
中でも注力したのが夫婦別姓法案です。皆さまのご声援と1万2,000件超の独自アンケートを力に、採決は見送られ、継続審議となりました。質問では、親子別姓や戸籍が家族単位でなくなることへの懸念など、核心的な論点に踏み込み、拙速な制度改変に警鐘を鳴らしました。今後も、家族・社会全体への影響を見据え、慎重な議論を促してまいります。
我が党の議席があってこそ、ここまで踏み込んだ取り組みができました。引き続き、皆さまと共に歩んでまいります。
今国会では、参政党所属議員から計34本の質問主意書を提出しました。
神谷宗幣:25本 / 北野裕子:1本 / 吉川里奈:8本
全国の支部・党員から寄せられたご意見をもとに、特に主権・教育・移民政策・安全保障など、国の根幹に関わる重要テーマに重点的に取り組みました。
<神谷宗幣>
・外国人受け入れに伴う財政・社会負担
医療費等の実態把握について、政府が具体的な調査・対応に着手している旨の答弁があり、党として訴えてきた課題に対して一歩前進が見られました。
・在留資格「経営・管理」の悪用実態
不適切な在留・移住ビジネスの実態を指摘したところ、関係省庁が制度の見直しを検討していることが明らかとなり、行政の対応が進みつつあることが確認されました。
<北野裕子>
・大規模プラットフォーム事業者の削除措置と手続保障
SNS等における投稿削除やアカウント停止について、表現の自由とユーザー保護の観点から国の対応を問いました。政府は、事業者の自主性を尊重しつつも、利用者の権利保護への配慮が必要との認識を示しました。
<吉川里奈>
・外免切替制度の懸念と国際免許の抜け穴
外国免許から日本免許への切替審査の実効性を問うもので、政府(答弁書)は現行制度の適正運用を強調し、見直しには慎重な姿勢を示しました。しかしその後、政府は制度の厳格化を検討していると明らかにしました(短期滞在者の住民票提示、知識確認問題の厳格化など)。
支部から寄せられたご意見は多岐にわたり、すべてを質問主意書として取り上げることはできませんが、提言や調査活動の指針として大いに活用しております。今後も、皆様の声を国政に反映させ、政策改善と課題解決に着実につなげてまいります。
ポスター掲示板に品位を損なう内容(名誉毀損や善良な風俗を害するもの)の掲載を禁じる法案です。北野裕子が共同提出者となり、成立しています。
会社や職員団体などから政党・政治資金団体への寄附を禁止し、政治団体から政党やその他の政治団体への寄附への制限を強める法律です。北野裕子が共同提出者となり、衆議院にて閉会中審査となりました。
裁判に用いる証拠開示の制度化や再審決定に対する検察官の不服申し立てを禁止する法案です。北野裕子が共同提出者となり、衆議院にて閉会中審査となりました。
水俣病特別措置法では救済しきれなかった全ての被害者を対象にした法案です。鈴木敦が共同提出者となり、衆議院にて閉会中審査となりました。
本年2月、野党第一党の呼びかけの下で「野党政策責任者協議会」が設置され、その場で鈴木敦から「合流協議をしているわけでも功名争いをするような余裕があるわけでもない。一緒にできるところまではやろう」との呼び抱えを行いました。各党それぞれやりたい政策が出てくる中で、ガソリン減税であればみんないっしょにできるだろう、ということになり、それから個々に交渉を続けていましたが、6月になってようやく成案に至りました。
遅くなった理由については、5月末まで自民党公明党―日本維新の会で行われていた減税協議の決裂を受けて野党会派として「ガソリン暫定税率廃止法案」の提出をするに至ったためです。その際、与党は協議の最後の最後で「いつ暫定税率の廃止を行っても平成20年のような現場の混乱は避けられない。それゆえ、暫定税率廃止は賛成だが、事実上できない」との回答を行っており、最初から廃止のための協議を行っていたとは到底思えず、全く誠意に欠けた政党間協議が行われていたことは付言しておきます。
野党7党として提出した「ガソリン税暫定税率廃止法案」は財務金融委員会に付託されましたが、委員長は「会期末であること」「慎重な議論が必要な案件であること」「十分なヒアリングや調整が行われていないこと」などの理由で審議入り拒否。これをうけて野党として財政金融委員長の解任決議案を共同提出しました。次いで採決の結果、衆議院では戦後初となる常任委員長解任決議案の可決を受け、新たに野党から委員長を指名し、本法案は委員会に付託され、審査が行われました。「最初から成立させる気がなかったのではないか」との指摘がありましたが、委員会をちゃんと開催していればさらに審査時間を確保できたはずの日程で提出を行っており、ぎりぎりになって審査が始まったのは委員会が開かれなかったからです。また与党側の質疑内容は最初から減税をする気がないことを前面に出した質疑であり、税負担の軽減を求める国民の声にこたえようとする我が会派を含めた野党に対し、「究極のポピュリズムである」と述べるなど、国民よりも税金に寄り添った質疑を展開してきましたが、鈴木敦を含めた野党提出者は寝食を惜しんで答弁調整を行い、何とか衆議院を通過させるに至りました。
参議院では自民公明両党が多数派であるため、こちらも誠意をもって答弁を行い、役所に対して「できますか」と問い、役所に「できません」と答弁させるような、役所と結託した質疑構成に対して我々の総力を持って対抗しました。しかし、参議院財務金融委員会は、本法案を「採決に値しない」という全く非論理的な理由で採決せず、一方的に廃案とされてしまいました。
本件は野党が一緒にできるところまで力を合わせ、議院の会議において通過させる力を持っていることを明らかにしました。今後も他会派との連携の元、我が党の理念や政策を法案に反映させるべく、交渉を続けてまいります。
旧文通費の制定はかつて「議会雑費」として始まった金銭の支給に始まり、国会議員の活動がいかなるものであるか、という役割の確立に応じてかかる費用を国費によって負担しようとしてきたものです。昨年の法改正で調査研究広報滞在費と名前が変わり、その使途を報告することが義務付けられました。これを受け、本協議会が設置され、その取扱について各党で協議しました。
本協議会は国会の審議、委員会の審査を円滑かつさらに充実させるために、国会に正式な機関として設置されました。この中で①委員会は原則として定例日に開催、②大臣不在の場合でも委員会を開催し、議員間討議を行う、③少数会派への配慮をさらに充実させる等の申し合わせを行いました。特に③については個々の現場ごとに院内総務―国対委員長間で交渉・調整を行ったことにより、さらなる質疑時間の確保に向けた交渉が可能となりました。
現行選挙制度の検証や、諸外国の選挙制度の利点と課題を整理するためのヒアリングを行いました。選挙制度の抜本的改革を進めるとの目標の元、継続して審査を行うこととしています。
前(216)国会で成立した政治資金監視委員会設置法を受けて、これを具体化する法案の与野党の協議会に賛成会派として出席。現在は論点整理まで行われています。