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2025.8.05

共産主義及び文化的マルクス主義の浸透と国家制度への影響に関する質問主意書|神谷宗幣

令和7年8月1日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。

『共産主義及び文化的マルクス主義の浸透と国家制度への影響に関する質問主意書』

提出者:神谷宗幣

 共産主義思想は、歴史的に暴力革命や一党独裁、私有財産の否定、宗教・伝統・家族の破壊を掲げ、二十世紀においてソビエト、中国、カンボジアなどで甚大な人道的・制度的破壊をもたらした。我が国においても戦後、日本共産党やその関連団体が破壊活動防止法に規定する調査対象団体に指定され、公安当局の監視を受けてきた。

 しかし、より深刻なのは、現代の共産主義が露骨な暴力革命を主張するのではなく、その思想的共鳴者を通じて、官僚機構・司法・教育・地方行政などの中枢に浸透し、価値観や政策判断に相当な影響力を及ぼしている現実である。

 例えば、共産主義勢力が司法試験合格者や裁判所職員などを通じて、組織的に法曹界への浸透を試みていたとする証言もある。また、官僚機構においても、これらの思想に共鳴する者が入省後に中枢的な部署に就き、教育、福祉、男女共同参画、外国人政策などの分野で、保守的な国家観や公共的価値観を否定するような制度設計を進めているとの見方もある。

 さらに、フランクフルト学派やアントニオ・グラムシの理論に基づく、いわゆる文化的マルクス主義(Cultural Marxism)とも呼ばれる思想潮流は、暴力革命ではなく、価値観・言語・教育・文化などを通じて既存の社会構造の変革を目指しているとされ、特に米国では一九六〇年代以降、大学、マスコミ、法曹界、政府機関などにこうした思想が浸透し、リベラルの名の下に家族制度・宗教・国家意識といった伝統的価値観を相対化、矮小化してきた。文化的マルクス主義は、従来の共産主義のように「党」や「革命」といった明示的な形を取らずとも、制度の内側から価値基盤や社会秩序に影響を与える「構造的変革」を目指している。

 我が国においても、ジェンダー平等、ダイバーシティ推進、多文化共生、外国人参政権といった一見穏当な政策用語が用いられつつも、その裏側で、家族、国籍、国語、教育内容、歴史観といった国家の独立性や公共秩序の基盤を成してきた制度や概念が見えない形で崩されてきていると思料する。

 さらに、こうした共産主義的政策に対して疑問を呈した議員や評論家、教育者が「差別主義者」、「反民主主義者」のレッテルを貼られることで、議論の萎縮や自己検閲の空気も広がっている。これは、自由民主主義の外見を保ちつつ、内実としては言論統制的傾向を帯びる、いわゆる「ソフト・トータリタリアニズム(柔らかな全体主義)」の兆候であり、政府は憲法秩序を守る観点から、この現象を正面から分析・対応すべき時に来ていると思料する。

 以上を踏まえて、以下質問する。

 
共産主義思想の基本的特徴として指摘される暴力革命、一党独裁、財産否定、宗教・家族制度の否定等について、政府はどのように認識しているか。自由民主主義体制との整合性に関する政府の立場を明確に示されたい。

 
非公然党員や特定思想に共鳴する人物が法曹界・官僚機構・地方行政において一定の影響を与えているとの指摘があるが、政府として、そうした傾向についての実態把握・調査・分析を行っているか示されたい。行っている場合、公安調査庁や内閣情報調査室等の関係機関における対応状況を示されたい。

 
日本共産党や関連団体が過去に法曹界・教育界・労働組合などに対して組織的に浸透を図ったと思料するが、政府としてどのように評価しているか示されたい。また、そうした活動が現在においても一定の影響を及ぼしている可能性について、継続的な警戒の必要性を含めた政府の見解を示されたい。

 
米国において、「文化的マルクス主義」と呼ばれる思想潮流が、大学・メディア・法曹界・教育制度等に影響を与えているとの分析がある。こうした海外における思想的動向について、政府としてどの程度把握・認識し、分析・評価の対象としているか示されたい。

 
日本国内において、文化的マルクス主義的価値観(ジェンダー絶対主義、反家族主義、歴史否定、国籍・主権の相対化など)が、行政・教育・法曹界などを通じて制度に影響を与えているとの指摘がある。政府はこのような思想的傾向の政策への影響について、どのように分析し、どのような認識を有しているか示されたい。

 
中国共産党及び北朝鮮当局が行うとされる「統一戦線工作」が、イデオロギーの浸透や価値観の支配を通じて国内の地方行政・市民団体・政党に影響を及ぼしている可能性について、政府はどのように評価し、対策を講じているか示されたい。

 
政府として、自由民主主義体制を守る観点から、共産主義思想やその文化的変種(文化的マルクス主義)による国家秩序の内側からの転覆に対して、啓発・教育・制度的監視を含む包括的対応を採る考えがあるか示されたい。対応を採る場合、その具体策を示されたい。

 右質問する。

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