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2025.8.05

憲法を一から考える教育に関する質問主意書|あだちゆうじ

令和7年8月1日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。

『憲法を一から考える教育に関する質問主意書』

提出者:あだちゆうじ

 日本国憲法前文や第一条には「主権が国民に存することを宣言し」、「主権の存する日本国民」と規定され、国民主権が明記されている。また、日本国憲法第九十六条においては、憲法改正につき国民投票を経ることが要件とされ、新たな憲法案について国民が直接判断し決定する権限を有しているとされている。これを受け、平成十九年には「日本国憲法の改正手続に関する法律」も制定された。新たな憲法案に対する判断・決定を国民が直接行う仕組みは、国民主権の原理を具体化したものであり、我が国の民主主義を実践し深化させる上で重要と考える。

 しかし、戦後八十年を経た今日に至るまで、国民主権の原理を具体化し、国民が新たな憲法案を主体的に考えて判断するための教育が十分に行われてきたか大いに疑問がある。現行の学習指導要領においては、小学校から高等学校にかけて日本国憲法の基本原理(三大原則)や現代的意義を学ぶことが重視されているものの、その内容は現行憲法の理解にとどまり、国民が憲法前文や基本的な国の仕組みを一から考え直し、新しい憲法案を提案するような主体的な学びの機会は、教育課程上、ほぼ設けられていないと考える。一方、明治時代には、全国各地、少なくとも数十か所で国民が集まり憲法案を起草していたことが五日市憲法草案(明治十四年作成)の例などからも明らかである。

 国民が主権者であることを自覚し、単に現行憲法を知るにとどまらず、自分たちで新しい憲法案を出すことも含めた教育を実践する必要があると考え、以下質問する。

 
日本国憲法第一条に明記された国民主権、すなわち主権が国民に存することの意味について、政府の見解を示されたい。特に、国民が憲法改正につき直接判断し決定する権限を有することも国民主権の内容に含まれると考えるか、政府の見解を示されたい。

 
主権者である国民が、新たな憲法案を主体的に考え、判断・決定する力を養うために、学校教育や国が関与して実施している事業・取組を示されたい。

 
国民が憲法前文や基本的な国の仕組みを一から考え直し、新しい憲法案を提案することを促す教育的取組や国の施策を示されたい。

 
日本国憲法第九十九条においては、国会議員を含む公務員が「この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と規定されている。しかし、国民は主権者であり、憲法改正の発議は国会で行われ、国民が国民投票で憲法改正の要否を主体的に判断し決定することが求められている。そのため、新たな憲法案について考える教育や提案・判断に向けた教育を国が積極的に行うことは、日本国憲法第九十九条に矛盾しないと考えるが、政府の見解を示されたい。

 
新たな憲法案を主体的に考え、判断・決定する力を育む教育に関し、海外における参考事例を示されたい。

 
憲法改正の国民投票を想定した模擬投票や討論活動など、学校教育において国民投票のプロセスを体験的に学ぶ取組の必要性について、政府の見解を示されたい。

 右質問する。

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