令和7年8月1日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
『政見放送の情報アクセシビリティに関する質問主意書』
提出者:鈴木あつし
我が国において、国政選挙及び都道府県知事選挙に際して行われる政見放送(以下「政見放送」という。)は、公職選挙法に基づき日本放送協会及び民間放送事業者のテレビ・ラジオを通じて無料で放送される仕組みとなっている。
また、我が国は障害者権利条約を批准しており、同条約は障害を有する全ての人々の社会参加や情報へのアクセス権を保障している。加えて、障害者基本法や障害者差別解消法においても、公的な情報の提供に際し、障害当事者が情報にアクセス出来る適切な配慮を行う必要性が示されている。
しかし現行制度下における政見放送は、手話通訳や字幕の付与は義務化されていない。また、付与が可能であっても政党あるいは候補者の任意に留まっており、これを行わない政党や候補者により、特に聴覚に障害のある有権者に対しての情報提供が十分でないとの指摘がある。
加えて近年では政党や候補者がYouTube等の動画共有プラットフォームやSNSで動画を公開することが増えているが、多くの動画共有プラットフォームで用いられている音声認識AIによる自動字幕機能は必ずしも正確ではなく、候補者が意図する内容を有権者に伝えるには不十分と考えられる。そのため、政見放送自体に手話通訳や字幕が付されていなければ、聴覚障害者は候補者の主張を十分に知ることができず、選挙権の行使に支障を来たすおそれがある。
選挙権は条件を満たす全ての日本国民の権利であり、身体的特徴によってその行使に影響が出ることは最小限に留めなければならないと考える。
以上を踏まえ、以下質問する。
一
政見放送及び経歴放送への手話通訳や字幕付与の導入状況等について
二
公共放送を担う日本放送協会で放送される経歴放送では手話通訳及び字幕放送が行われていないが、今後どのような働きかけが必要か、政府の見解を示されたい。
三
政見放送の手話通訳や字幕付与の実施状況と障害者権利条約及び障害者差別解消法との整合性には疑問が残る。
四
YouTube等の動画共有プラットフォームで政党や候補者が公開している動画を以て政見放送の不足を補う考えに対し、諸ウェブサイトでの自動字幕機能の精度が公的情報の補完手段として適切な水準にあるか、政府の評価を示されたい。
五
政見放送の手話通訳や字幕付与を行き渡らせるには、公費負担及び制作支援が必要になると考える。
右質問する。