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2025.8.05

外国人及び外国系法人による土地取得規制に関する質問主意書|松田学

令和7年8月4日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。

『外国人及び外国系法人による土地取得規制に関する質問主意書』

提出者:松田学

 二〇二二年九月二十日に全面施行された「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(以下「重要土地利用規制法」という。)は、原子力発電所や防衛施設等の周辺の土地利用状況の調査と一定の利用行為の制限を定めたものである。しかし、重要土地利用規制法には、外国人及び外国系法人による我が国の土地取得を規制する規定がない。

 政府は二〇二四年十二月に土地等利用状況審議会を開き、国の安全保障にとって重要な施設周辺の土地及び建物の外国人等による取得状況を含む調査結果を公表した。重要土地利用規制法施行後、外国人等による土地及び建物の取得状況が初めて公開されたことになる。調査結果は、二〇二三年四月から二〇二四年三月までに指定された三百九十九区域が対象であり、同指定区域で取得された土地及び建物は、日本人による取得も含めると全体で一万六千八百六十二件、そのうち、外国人等による取得は三百七十一件であった。外国人等のうち、国別では中国が二百三件(五十四・七%)で最多であり、次に多い韓国の四十九件(十三・二%)と大きな差がある。調査結果を詳しく見ると、中国人及び中国系法人が取得した二百三件の土地及び建物のうち、六十五件は新宿区にある防衛省の近くに位置し、陸上自衛隊の補給統制本部や練馬駐屯地の近くにおいても多数取得されている。

 重要土地利用規制法に基づく調査によって、安全保障上懸念されるような土地及び建物の取得実態が明らかになってきたが、懸念を払拭するためには実効性のある措置(外国人等による土地及び建物取得の届出制や規制等の導入)を採らなければならない。実効性のある措置を定める上で、一九九四年に加盟したサービスの貿易に関する一般協定(GATS)における日本人と外国人の待遇に格差を設けてはならない旨の内国民待遇の保障規定が妨げになっている。GATS加盟時に土地取得に関する留保を行っていれば外国人等の土地取得を禁じることもできたが、我が国は「海外からの投資を呼び込みたい」との理由で留保を行わなかったとされる。

 参議院外交防衛委員会(二〇二五年五月八日)において、榛葉賀津也委員は、外国人等による日本の土地取得に関する質疑を行った。これに対し、経済安全保障を担当する友納理緒内閣府大臣政務官は、重要土地利用規制法を担務とする政務官として、その範囲における現状把握・調査は行っている旨答弁し、「重要土地以外の土地についての政府の現状の回答は差し控え」ると答弁した。

 榛葉委員は、「農水省はしっかり把握しているんです。(中略)農地も管理されているし、林野庁は森林の売買しっかり把握しているんです。」、「省庁横断的に把握するのがお役所の役割でしょう。だから、経済安全保障担当の役所つくって、大臣、副大臣、政務官がいらっしゃるわけでしょう。だから、どれだけ外国人が土地を持っていますかという話です。」と続けて質疑した。これに対し、岸川仁和政府参考人は、「重要土地法に基づく区域内における状況と、(中略)林野庁、そして農水省本省の方から農地に関する情報、これすなわち国籍が許可、届出において書かれている情報はいただいておりますが、ほかの土地の取引においては、国籍等が書かれていない、記載されていないということで、私どもは承知をしていない」と答弁した。さらに、榛葉委員が「重要土地以外の土地を外国人に買われないように、しっかりと自分の国は自分で守る、これを所管するのはどこの役所なんですか。」と質疑したところ、友納政務官は「お答えを差し控えさせていただきます。」と答弁した。

 日本以外の多くの国では、外国人等の土地取得を禁じるか、厳しく制限している。また、土地取得を認めずに、五十年などの期限を区切った借地権としている国も多い。一方、日本で外国人等が土地及び建物を取得し利用していることについては、重要土地利用規制法に基づき特定の利用行為に限って制限を加えたものに過ぎない。これでは、重要施設周辺の安全を確保していく上で、甚だ不徹底な措置のままだと言わざるを得ない。

 中国には国防動員法が存在し、有事における人員や物資の動員について中国政府の管理下に置けることとなっている。同法は国外に所在する中国の国民や企業にも適用されるものであり、仮に武力衝突などの非常事態を迎えた場合、中国政府は「自国民が管理する土地及び建物である」と主張して、日本の土地及び建物を悪用し、防衛施設を含む重要施設の運用に障害をもたらす可能性も否定できない。

 以上を踏まえて、以下質問する。

 
二〇二四年十二月に土地等利用状況審議会において明らかにされた「重要施設周辺等における土地等の取得の状況について」の調査結果を踏まえ、安全保障上、政府が今後採るべき具体的措置について政府の見解を示されたい。また、その措置を実行するために、重要土地利用規制法の改正又は他の法律改正等を考えているのか示されたい。

 
外国人等が日本の土地及び建物を取得している状況、特に防衛省・自衛隊関連施設及びその周辺における取得件数が増加している状況を踏まえ、安全保障の確保に向けた更なる規制措置(土地取得、利用の制限等)を実行するために、GATSにおける内国民待遇の保障について、土地取得に関する留保を行う必要があると考えるが政府の見解を示されたい。留保を今後も行わない場合、代替措置を示されたい。

 右質問する。

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