令和7年1月24日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
『NHK番組「緑なき島」に起因する事実に基づかない歴史情報の国際的拡散に関する質問主意書』
提出者 神谷宗幣
二〇二五年は先の大戦後八十年目であり、一部の国による歴史に基づかない反日的な情報の拡散が懸念される状況にある。その中で、一九五五年に放送されたNHK番組「緑なき島」(以下「本件番組」という。)において、端島炭坑内の映像として事実とは異なる映像(以下「本件映像」という。)が使用され、誤った情報が放送されたことが指摘されている。本件映像は、韓国において「端島で朝鮮半島出身者が劣悪な環境で強制労働をさせられた」、「虐待や虐殺があった」とする主張の根拠として利用され、デジタル教科書等の教育資料にも組み込まれている。その結果、世界中で誤った歴史情報が拡散し、日本及び元島民の名誉が損なわれている。
一方、ユネスコによる「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録の過程において、韓国は、「端島での強制労働」があったとする主張を展開した。これに対し、政府は、「一九四〇年代にいくつかのサイトにおいて、その意思に反して連れて来られ、厳しい環境の下で働かされた(forced to work)多くの朝鮮半島出身者等がいたこと」を認める声明(以下「本件声明」という。)を発表し、インフォメーションセンターの設置など、犠牲者を記憶にとどめるために適切な措置を説明戦略に盛り込む意向を表明した。本件声明は、「強制労働(forced labor)」を認めたものではないとする政府の立場に基づくものであったが、一部では「強制労働を認めた」と誤解される事態を招いた。韓国側がこれを国際的に拡散したことで、国際社会における誤解を助長した可能性があるのではないかと考える。
また、世界遺産登録後にNHKは、事実に反する本件映像を含む本件番組の復刻版DVDの発売を開始した。元島民や「産業遺産国民会議」がNHKに対し是正措置を要求したのに対し、NHKは同DVDの販売は止めたものの、それ以上の誠実な対応を行わなかった。そのため、元島民らがNHKに対し、本件映像が事実に基づかないものであることを認め、訂正と謝罪を求める調停を東京簡易裁判所に申し立てた結果、令和六年十二月に調停が成立した。本件調停において、NHKは「端島炭坑内で撮影されたものであるという確認が得られていない」と認めたものの、それ以上の謝罪や是正措置は採られていない。
現在、元島民の証言や詳細な検証により、本件映像が端島炭坑内で撮影されたものでないことが明らかになっている。また、これらの証言や検証から、端島において朝鮮半島出身者が劣悪な環境で強制労働を強いられた、あるいは、虐待や虐殺が行われたとする主張についても、事実に基づかない可能性が高いことが示唆されている。それにもかかわらず、誤った歴史情報が拡散し続けている現状を看過することはできない。
以上を踏まえ、質問する。
一
本件番組が本件映像を使用し、事実に反する情報を放送した点について、政府としてどのように認識しているか示されたい。また、韓国が本件映像を利用して事実に反する歴史的主張を行い、世界に誤った歴史情報が拡散している現状に対し、政府はどのように認識しているか示されたい。
二
本件調停において、NHKが本件映像について「端島炭坑内で撮影されたものであるという確認が得られていない」と認めたにもかかわらず、訂正や是正措置を十分に講じていない現状について、政府はどのように認識しているか示されたい。また、この現状によって、本件番組が誤った情報の拡散を引き起こしていることについて、政府はどのように認識しているか示されたい。
三
本件番組により元島民と遺族の名誉が毀損され、韓国が不当な主張の根拠として利用していること、さらに、世界に誤った情報が拡散して日本国・日本人の尊厳が傷つけられている現状を看過すべきではない。政府は、NHKに対し、本件番組制作に係る調査と結果の公表、本件番組の訂正番組の制作、世界への発信や韓国が使用している本件映像の回収を含む是正措置、元島民への謝罪等を行うよう促す必要があると考えるが見解を示されたい。
四
本件番組を始めとするNHK制作の歴史番組について、事実に基づかない偏向した内容が放送され、日本の歴史を誤解させているとの指摘がある。このような指摘に基づき、政府は、NHKに対し、歴史番組全般について、事実に基づき公平に制作されているかを検証し、問題がある場合には適切な是正措置を講じるよう働きかけるべきと考えるが見解を示されたい。
五
前記一及び二で述べたとおり、本件映像を基に、韓国において事実に基づかない反日的な展示や映画製作、教育が行われ、誤った歴史情報が韓国内外に拡散している現状について、これまでに政府が講じた対応と、その結果を踏まえた今後の具体的な措置について示されたい。また、本件声明が、一部で「強制労働を認めた」と誤解され、国際社会における誤解を助長した可能性について、政府はどのように認識し、対応する考えか示されたい。さらに、本件声明が「強制労働を認めた」と解釈されることについて、政府の見解を示すとともに、そのような解釈が間違いであるとする理由を具体的に示されたい。
右質問する。