令和7年1月24日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
『外国資本による日本の鉱業権取得と国益に及ぼす影響に関する質問主意書』
提出者 神谷宗幣
令和六年十一月十五日、毎日新聞は「外国資本の企業五社が日本国内の少なくとも計四十二カ所の金鉱山の開発に向けて調査や試掘を進めている」と報じた。カナダの三社とオーストラリアの二社が新たな金採掘の事業を進めているが、北海道黒松内町では、住民の反対運動が起きており、鉱害の発生など環境や健康への悪影響、開発の持続可能性に対する懸念等が報じられている。
歴史的にみると、外国による鉱物資源の獲得は、侵略や植民地化の大きな理由であった。そのため、我が国では、鉱山開発を国の直轄事業として厳格に管理し、外国の介入を阻止してきた。現行の鉱業法では、国は、鉱物(金鉱、銀鉱、銅鉱など)を掘採し、取得する権利を賦与する権能を有し(第二条)、「日本国民又は日本国法人」でなければ、鉱業権(試掘権及び採掘権)者となることができない(第十七条)と規定されており、外国人又は外国法人は鉱業権者となることはできない。
平成二十九年にカナダのJapan Gold社が、平成二十四年の鉱業法改正以降外国企業として初めて日本国内での探鉱・試錐許可を取得した(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構、平成二十九年十二月二十二日付「金属資源情報」)。その後、令和六年においてもJapan Gold社に対し、鉱業権の設定の許可処分がなされている。
試掘は探索段階であり、必ずしも商業的に採掘可能な量の鉱物が見付かる保証はない。しかし、企業は利益を求め投資をするため、鉱物が発見されれば、それが日本の資源の外部流出と国益の損失に直結するリスクが高い。日本の鉱物資源は希少であることから、極めて制限的に許可するべきと考える。
以上をもとに、以下質問する。
一
鉱業法第十七条の「日本国民又は日本国法人」の定義を明らかにされたい。
二
鉱業法第二条及び同法第十七条が規定された背景、目的及び理由を明らかにされたい。
三
過去十年以内の外国事業者による鉱業権の設定出願に関する処分の詳細(出願人の氏名又は名称、件数、処分年月日、処分内容等)を明らかにされたい。
四
外国事業者に鉱業権を許可することが、鉱業法第十七条の趣旨に照らして適切であると政府が判断する根拠を示されたい。また、このような許可が国益にどのような影響を及ぼす可能性があるか政府の見解を示されたい。
五
鉱山開発による近隣住民の健康や環境に与える悪影響をどのように防止しているか示されたい。
六
鉱業に関連する税制について
右質問する。