Newsニュース

2025.2.20

食用赤色三号を始めとする食品添加物の安全性評価と使用規制に関する質問主意書

令和7年2月20日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
 
『食用赤色三号を始めとする食品添加物の安全性評価と使用規制に関する質問主意書』

提出者 神谷宗幣

米国食品医薬品局(以下「FDA」という。)は二〇二五年一月十五日、着色料「食用赤色三号」の食品への使用許可を取り消す決定を行ったことを公表した。消費者庁ウェブサイト「食用赤色三号のQ&A」によれば、この決定は、米国連邦食品医薬品化粧品法のデラニー条項における「動物やヒトにがんを引き起こすと考えられる物質は食品添加物として使用できない」との規定を適用したものである。一方で、FDAは「ヒトの健康に影響を及ぼすという主張は科学的に裏付けされたものではない」と申し添えている。

 しかし、日本では依然として食用赤色三号の使用が認められており、安全性の評価が改めて問われている雄ラットの試験で発がん性が認められた報告があることから、人体への影響についても科学的に再評価する必要があると考える。

 また、この問題は、食用赤色三号という特定の着色料にとどまらず、日本の食品添加物全体の規制の在り方にも関係する。一般財団法人食品産業センターのウェブサイトで公開されている海外食品添加物規制早見表(以下「早見表」という。)によると、我が国で使用可能な食品添加物のうち、海外の主要十カ国・地域(米国、EU(英国含む)、中国、韓国、台湾、香港、シンガポール、タイ、ベトナム、豪州)と比較して、六カ国・地域以上で使用禁止となっているものが百二十三品目あり、そのうち、十カ国・地域全てで禁止されているものが三十六品目ある。今回FDAが使用を禁止した食用赤色三号と同様の赤色系タール色素である食用赤色百四号、百五号及び百六号もこの三十六品目に含まれている。

 これらの状況を踏まえると、現行の規制基準では安全性の確認が十分であるとは言い難く、食品添加物の使用可否は、「人体への悪影響があるかどうか」ではなく、「悪影響がないことが証明されているか」を基準に決定されるべきと考える。また、着色料の使用禁止は食品の品質や流通に影響を与えないため、消費者の健康リスクを最小限に抑える観点からも慎重な検討が求められると考える。さらに、日本の食品添加物の規制は、国際的な動向に比べて緩やかであり、規制の見直しに時間を要する傾向がある。食品添加物の管理は、国民の健康維持だけでなく、長期的な医療費抑制にも関係する重要な課題である。

 これらを踏まえ、以下質問する。

 食用赤色三号について、政府は過去五年間に安全性評価を行ったとされているが、その評価は具体的にどの機関が、どのような科学的手法で行ったのか明らかにされたい。また、評価結果の概要、使用した試験データ(発表年・試験機関・対象とした研究)を示すとともに、長期摂取による影響や他の食品添加物との相互作用の評価がどのように行われたのか示されたい。

 早見表によると、食用赤色三号を含む日本で使用可能な食品添加物のうち、海外の主要十カ国・地域全てで禁止されているものが三十六品目ある。これらの食品添加物それぞれについて、日本の基準と各国の基準の具体的な違いを示されたい。また、政府は各国がこれらの食品添加物の使用を禁止した理由について把握した上で、日本における使用を認めているのか示されたい。

 食用赤色三号を含め、日本の食品添加物の安全性基準は、食品添加物公定書によって五年ごとに見直されているとされるが、新たな科学的知見が出た場合に、五年を待たずに即時見直しを行う仕組みはあるのか示されたい。また、過去五年間で緊急の見直しが行われた事例があるか示されたい。

 食品衛生法第十二条に基づき、厚生労働大臣が使用してよいと定めた食品添加物のうち、他国で禁止されている割合の高い食品添加物について、政府はどのような科学的根拠に基づいて安全性を評価しているのか示されたい。

 食品添加物の長期摂取や相互作用に関する研究への助成状況を示されたい。また、今後、新たな研究・事業に対して助成する予定があるか示されたい。ある場合は、その具体的な内容を示されたい。

 早見表によると、日本で使用可能な食品添加物のうち、海外の主要十カ国・地域全てで禁止されているものが三十六品目ある。日本で加工した食品を輸出する際、これらの食品添加物が含まれていることで輸出の障壁となっている可能性について政府の見解を示されたい。また、加工食品の輸出促進の観点から、食品添加物基準を見直す計画があるのか示されたい。

 右質問する。

totop