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メルツさん、あなたの時代は始まる前に既に終わっています!

2025年3月13日国会で演説するヴァイデル(上)、それを聞くメルツ(下)

令和7年3月19日 吉岡綾子(ドイツ在住)

2025年3月13日 アリス・ヴァイデルAfD共同代表国会演説全文書き起こし翻訳】

親愛なる議長、連邦首相、そして皆様、
私たちは歴史的な時代を生きています。

これほど短期間でこれほど多くの選挙公約を破った首相候補は他にいません、メルツさん。
国境管理はもはややる気無し。
入国拒否は全くやらない。
国外退去を命ぜられた人の強制退去、これはどこへ行ったんですか?
債務ブレーキ(1)を撤廃する?守ると公約にありましたよね。
あなたは債務ブレーキの墓掘り人として歴史に名を残すでしょう。
選挙戦の際にはご立派でしたのに。
これではもはや詐欺師です。

あなたは国民の富を躊躇(ためら)いもなく犠牲にした。
なんとかして首相になるために。
そして選挙で大敗したSPDと手を組み
事前にドイツ連邦最大の負債パッケージ(2)を承認するという合意をした。
その額、約1兆ユーロ!1兆ユーロですよ!
これが何のための資金になるのかも不透明なまま。
それはあなたのプロフィールと同じく不透明!
あなたは、疑わしい特別会議を大急ぎで開催し、
我々、即ち我々の憲法と民主的正当性を恥ずかしげもなく攻撃して
これを強行しようとしている。恥ずかしいことだ。
あなたは先の選挙結果が気に入らないから、
有権者によって排除され罰せられた勢力とともに、
古い連邦議会を再びまとめ上げようとしている。
あなたは彼らの手を借りて、数兆ユーロの負債を追加することで、
新しく選出された連邦議会の手を縛りたいと考えている。
この行動は有権者の意志に対する軽蔑を示している、
この行動は民主主義の正当性に対する軽蔑を示している、
そしてこの行動はあなたという人の人間性を示している、メルツさん!

あなたは500億ユーロの特別債務を「特別資産」と言い換え、
定義の曖昧なインフラ投資?に活用するとしている。
更に債務ブレーキを撤廃して、
更にほぼ同額をこれまた具体的な用途の不明な防衛費に充てようとしている。
しかも上限無しで!
おまけに気候変動対策費も増額して緑の党の支持を買おうとしている。
これは次世代への巨額な負債となります。
あなた方は未来の世代に対して罪を犯しているんですよ!
彼らはこの怒りの代償を払わなければならない。
白紙の小切手では、納税者一人当たりの負債負担が増加するばかりです。
この負担は、通常示される一人当たりの負債よりも深刻なものです。
納税者一人当たり58,500ユーロだったものが
今日から77,700ユーロ以上の負債負担へ増えるということを意味します。
つまり33%の負担増になります。
国民総生産を鑑みると、負債の負担は現在の64%から85%以上に増加する、
これがここで行っているあなたの財政論争に他なりません。

さてドイツ国債はユーロ圏全体の借入れコストを決める際の
リスクフリーレートの基準とされています。
しかしあなたの財政政策の大転換はこの基準に悪影響を及ぼし
ドイツ国債のリスクプレミアムにも影響を与える。
つまり私たちは今後、より高い金利を支払わなければならなくなるのです。
既にあなた方の計画が発表されたことで、
10年物のドイツ国債の利回りはたった1日で16ベーシスポイント上昇しました。
更に今日までの1週間の間で50ベーシスポイントも上昇しました。
ECB(欧州中央銀行)がその前に利下げしたにも関わらずですよ。
あなた方の政策は将来の政府の政策選択肢を狭めるだけでなく
ドイツの財政を混乱に陥れることになります。
あなた方の行動によってドイツの国際金融市場における信用が損なわれるリスクがあるのです。
その結果ユーロという脆弱な通貨の基盤すら揺るがすことになるでしょう。
この通貨の存在は主にドイツのAAA格付けに依存しています。
しかしこのAAA格付けはあなたの無責任な行動によって
失われることになるでしょう、メルツさん!
その結果、金利は天井知らずに上昇し、ユーロは急激に急落し、
それは人々に深刻な影響を及ぼすでしょう。
この国の人々は、住宅ローンの金利上昇、家賃の上昇、
生産と消費のための輸入品の価格上昇を通じて、その代償を払うことになるでしょう。
本日我々が聞いた通り、あなたの言い訳はあまりにも口実ぽく不誠実です。
あなたは世界情勢が突然変わったとでっち上げ、戦争の恐怖を煽って国民を脅迫する。
これは、過去の政権がコロナ騒動と気候変動騒ぎに乗じて
政府支出の大幅な拡大と自由の制限を正当化したのと同じ安っぽい操作だ。
そしてあなた方はこれらすべてをグロテスクに行っている。
米国とロシアがウクライナでの大量死を終わらせる準備をしているまさにその瞬間に、
あなた方、黒(CDU)・赤(SPD)・緑(緑の党)の連合は、
戦場に容赦なく財政援助と軍事装備を投入しているのです。

確かにドイツは急いで国防力を強化させる必要があります。
それは単に予算を注ぎ込めば良いのではなく
実際に防衛任務を遂行できる即応性のあるものでなければなりません。
でもそのために無計画な借金のばら撒きは必要ありません。
そんなものは最初の「特別予算」と同じように無駄に消えるだけでしょう。
必要なのはまずはしっかりとした戦略であり適切な支出です。

やる気のある兵士を獲得するには、お金は必要ありませんが、
まずは自国と自国の軍隊に対する肯定的で愛国的な自己イメージが必要です。
左翼思想のせいで命を失いたい人は誰もいない。
そしてドイツは放置され老朽化したインフラに早急に投資する必要がある。

私は不思議に思うのですが、
あなたが国会にいたこの10年間にあなたは一体何をしていたのか?
5000億ユーロの特別予算は過度な操作というべきで解決策ではありません。

インフラと防衛こそ政府の活動の中核的な任務であり、
十分な資金を調達する必要があります。
適切に支出を行うには政府支出の優先順位を正しく設定しなければなりません。
税収と政府支出の総額が2兆ユーロを超えている現在、
解決策は更なる借金をすることではなく不要な支出を徹底的に削減することです。
具体的には社会保障制度の移民誘導策を全て撤廃し国境を閉鎖することで
不法移民を阻止し許可のない者は例外なく入国拒否し厳格に送還すべきです。
更に気候保護のための年金補助金を廃止し、
失敗した再エネ転換政策も終わらせるべきです。
また、いわゆるNGOへの全ての支払いを打ち切るべきです。
なぜならそれらは実際には国家資金に依存しており
本来の意味での政府組織ではないからです。
この方法によって政府予算の中から数千億ユーロ規模の資金を確保することができます。
それらをインフラ整備、防衛、国家治安対策に投資すれば、
そこには加えて減税の余地すら出てきます。
SPDとあなたの合意文書は、あなたがすでに選挙公約のほとんどを放棄したという、
緑がかった社会主義への屈服宣言です。
緑の党の前で従順にひざまずいたその上で
今度はまだ一体何を提供したいのでしょうか?
社会問題についてあなたが何を言いたいのか疑問に思っています。
あなたが社会経済政策について書いた内容は、
SPDと緑の党の特徴を帯びています。
補助金の分配は止まり、国家介入による様々な禁止措置が行われる。
そしてこれらのもたらす悲惨な結末は有権者への裏切りではないですか!
明らかにあなたは有権者への詐欺、民主主義への攻撃をずっと前から計画していた。
あなたが披露している価値のないパフォーマンスは、
すでに黒い信号(CDU連立政権)の最終段階のように聞こえます。
毎回同じことが繰り返されているではないですか!
CDUに投票する人は、戦争屋左派の緑の政治を見ることになります。
なぜなら、あなたは防火壁(決してAfDに組みしないという壁)に固執するあまり
緑、左派、赤の多数派におもねるからです。
あなたは、AfDに投票した1000万人の有権者の投票を傲慢にも軽視し、
中道右派への政治的な方針転換への希望をないがしろにしています。
あなたが課題を果たせないことはもはや明らかです。
修正すべき左翼政策の欠点は、国の繁栄の喪失、産業の空洞化、
国内治安の崩壊、インフラと公共秩序の崩壊を招いた。
大量移民、税金の無駄遣い、計画経済の道は放棄されなければならない

我々AfDはこの責任を引き受ける準備が整っています。
そしてドイツのために責任を持って行動する意思があります。
しかしそれはあなたとではありません、メルツさん。
また我々はあなたを首相候補に据え続ける様な、
そして左派的な政治を継続するCDUとも共に歩むつもりはありません。
メルツさん、どうかこの国のために身を引いてください。
首相になろうとするのを諦めてください。
なぜならあなたにはふさわしくないからです。
この点においてメルケル元首相は正しかった!
あなたの時代は始まる前に既に終わっています。
CDUはあなたと決別すべきです。
それがこの国のためでありそしてあなたの政党(CDU)のためでもあります。
なぜならメルケルが言っていた様にあなたは不適格者だからです。
メルツさん、なぜだと思いますか?
あなたには信念が無いからです。
あなたには価値も無い。
ご清聴ありがとうございました。

注釈
1 債務ブレーキとは財政赤字の膨張を抑えるため基本法(憲法)で定めた厳格な債務抑制策。具体的には財政赤字を国内総生(GDP)の0.35%
2 ドイツ連邦議会(下院)は2025年3月18日、防衛・インフラ支出に向けた何千億もの借り入れを可能にする 財政改革パッケージを賛成多数で可決した。ドイツの財政政策は、数十年にわたる緊縮路線から、財政拡大政策へとかじを切った。

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