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2025.5.02

日本の福祉、外国人の方が手厚いの?~中国残留邦人支援給付金をご存じですか~|たかつかさ 淳弘

ある日、知人からこんな言葉を聞きました。
「生活が苦しい。自分は生活保護なんて頼りたくない。でも、近くに住む外国人が制度として医療費も生活費も援助されているのを見て、正直、釈然としないんです…」

この言葉に、私も胸が詰まりました。人としての尊厳、誇り、そして公平への感覚。
それはときに、制度の“正しさ”を超えて、私たちの心を揺さぶります。
今、全国の自治体で、「外国人が受ける日本の福祉支援」に対する違和感が、静かに広がっています。もちろん人道的な観点は大切です。けれども、制度が「納得できる形」で運用されているか?ここには、国として、自治体として、私たち一人ひとりが立ち止まって考えるべきテーマがあるのではないでしょうか。

◆ 限られた財源、だれのための支援か?

日本の福祉制度は、基本的に「日本国民の最低限度の生活を保障する」ためにあります。
しかし現在、実際には外国籍の方にも「生活保護に準じた制度」が準用され、行政の負担で支援が行われています。
税を納め続けている市民から見れば、限られた財源しかない中でこの制度が適応される現実は、どう映るでしょうか。それが“困っている人を助ける”という善意から発していても、「納得できない」という感情が生まれること自体は自然なことだと、私は思います。

◆ 「中国残留邦人支援給付金」という制度をご存知ですか?

その象徴的な例が、「中国残留邦人等支援給付金」という制度です。
この制度は、戦後の混乱期に中国などに取り残された日本人や、その家族に対し、帰国後の生活を支援するために設けられたものです。言語の壁や就労困難、社会との断絶など、多くのハンディキャップを抱えて帰国された方々に、生活費や医療費の支援が行われるのです。
その目的や背景は、当初はたしかに人道的意義が大きく、誰もが納得できるものでした。しかし、年月が経つにつれて違和感が浮かび上がってきました。

◆ 戦後に生まれた方が“支援対象”となっているのでは?

実際、現在この制度を利用している方々の平均年齢は80代以上。しかし驚くべきことに、昨年も新たに日本に来られた残留邦人の方にこの制度の認定が与えられたという事例があるようです。
この方々の中には、中国で生まれ育ち、戦前の日本統治の記憶も持たず、文化的・社会的にも“日本人”とは言いがたい立場の人々も含まれています。

それでも「中国残留邦人の親族である」という立場で、生活費支給、医療費支援の対象となっているのです。
例えば、金沢市においては、令和7年度の予算で1,700万円がこの制度のために計上されており、医療費についても多くなっているようです。一方で、日本人であっても生活保護の申請が通らないケースもあります。
「この国の福祉制度は、誰のためのものか?」という疑問は、決して偏見から来るものではなく、現実に直面している制度の“歪み”への問題提起なのです。

◆ 世界の「姥捨て山(うばすてやま)」に日本がなってはいけない

いま世界では、日本の医療・福祉が“安くて高品質”という評判から、高齢期に入り、日本に移住して福祉サービスを受けようという動きが一部で広がっています。

それが制度的に正当化されているとすれば、日本が世界の「姥捨て山(うばすてやま)」になってしまう日も遠くないのかもしれません。
さらに、日本では外国人留学生に対して、返済不要の支給型奨学金制度を提供しています。これもまた、「日本人の若者には同等の制度がないのに、なぜ外国人には手厚いのか?」という感情を生みかねません。

◆ 制度は「善意」でなく「公平」で語る時代へ

私は「外国人支援が悪い」と言っているのではありません。必要な人には支援が届くべきだと思います。
しかしその支援が「制度としての整合性」を欠き、日本人にとって納得できないものであれば、それは人道ではなく、“制度疲労”と言わざるを得ないのです。

◆ では、どうすれば良いのか?

私が国へ提案したいのは、以下のような制度の徹底です。
本来、日本に入国する際、在留資格の審査では、申請者が日本での生活を自立して営む能力があるかどうかが重要な判断基準となります。入国後すぐに生活保護を申請するようなケースでは、審査官が「生活保護の受給を目的とした入国」と判断する可能性があり、その場合、入国が認められないことがあります。
何より、市民が納得できる「公正で透明な制度設計」が必要です。日本の未来を支えるのは、今まさに税金を納め、地域で暮らしを支えている一人ひとりの市民です。
その声に、政策が、制度が、そして行政が、真摯に耳を傾けていくこと。それこそが、私たちが目指す「信頼される自治」の第一歩なのではないでしょうか。


たかつかさ 淳弘
Takatsukasa Atsuhiro

所属議会
金沢市議会議員(石川県)

経歴
京都産業大学 工学部生物工学科 卒業
一部上場企業 メディカル部門
外資医療メーカー 元社員

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