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2024.03.15

目指す方向を伝え合う事が大切|成田 リュウジ

綾瀬市議会議員の成田龍二です。
 
私たちは一度知ってしまうと、知る前に戻ることはできません。だから初めて知ったときの感想を私は大切にしています。今回は、政治家と話した事もなかった普通の会社員であった私が、市議会議員になって得られた気づきについて、みなさんへお伝えしたいと思います。
 
・公的な情報であっても偏るという気づき
 
私は、行政は市民のために両論公平な情報を公開するものだと思っていました。ある軸では良いが、別の軸では悪いという両論の情報がなければ、自分だったらどうかと考えることも難しいからです。
 
市議会議員として2023年9月の一般質問では「考えさせる公平な情報公開について」市長に問いました。新型コロナワクチンの健康被害救済制度の認定件数を示し、負の面も含めて情報発信を公平に行うように求めました。しかし、市長は「市は市民の皆さま一人ひとりに『どの様な判断をして頂きたいかを明確にして』情報発信を行う責任がある」と回答しました。
 
「市民にどの様な判断して頂きたいか」を行政が予め定めている事実に私は 驚き、2023年12月の一般質問では、「情報発信における責任について」市長に問いました。 市長の言う責任が何処から来るのかを明らかにしたかったのです。市長の回答は「市から発信する情報には国や県からの方針による、様々な事業があります。それぞれの事業には目的があり、目的の達成に向けて、必要な情報を発信しております」でした。
 
行政の責務とは「事業の目的を達成するため」「市民に期待する判断を定め」正確に市民に理解いただくように情報発信することなのです。負の面を市民に知らせることが、事業の目的に合致しないならば、情報が偏ることは自然なことだと気が付いたのです。
 
・法定受託事務という国の事業
 
今回の新型コロナウィルスワクチン接種事業の目的は「新型コロナウイルス感染症の発症を予防し、死亡者や重症者の発生をできる限り減らし、結果として新型コロナウイルス感染症のまん延の防止を図る」です。そのため接種率を高めることが目標とされました。
 
地方自治体には、自治事務と法定受託事務という2種類の事務がありますが、今回の新型コロナワクチン接種事業は、戸籍事務と同じように法定受託事務でした。全国一律で実施する国の事業で、自治体はこれを受託している形なのです。
 
法定受託事務は事務処理を義務付けられていて、目的達成の手段を自分たちの望む形に変えられるものではない、自治の範囲外です。だから、ワクチン接種率を高めるという国の方針に従い、接種率が高くなるように、厚生労働省の情報を市民に正確に伝える情報発信が行われたのです。
 
mRNA型の新しいワクチンで感染症の蔓延を抑え込む、という政治的な判断がなされたとなれば、行政はこの路線の上でしか動けません。ですから当然、発信する情報も偏るという訳です。
 

・コンプライアンスと組織の決定
 
コンプライアンスとは、決められたことに従うこと、という意味です。市の職員は地方公務員法に基づき、法令はもとより、業務執行のために庁内で定められたルールや組織で決定した方針等には従わなければならないのです。
 
当初、新型コロナワクチンに関しての効果と安全性について、市役所には多くの問い合わせがあったそうです。リスクについて知っていても、組織が接種率を高める目的に向かって動いている中では、伝える事ができない職員がいたかもしれません。
 
・多角的情報を市民が知る方法
 
行政の情報発信が国の政治判断の路線に偏るのだとしたら、私たちは多角的な情報を、どのようにして知ることができるのでしょうか?
 
一つの可能性は自治体の首長の発信です。
 
綾瀬市なら綾瀬市長です。市長は市民に選ばれた政治家なので、市民の支持がある限りにおいて、多角的な情報発信ができます。私たちが、メリットデメリット公平な情報を伝えて欲しいと願うならば、首長に求めると共に勇気を支えることが必要です。
 
もう一つの可能性は地域社会です。
 
近所で顔の見えるつながりをつくり、相談し合える日常をつくる。確信できる内容でなくても恐れず率直に伝え合えば、多角的な情報が交わり、互いに考えさせられる。地域で少し踏み込んだ会話の量を増やすことで、多角的な情報を知ることが出来るかもしれません。
 
・率直に伝え合う社会から遠ざかっている
 
昔「8時だヨ ! 全員集合」というテレビ番組がありました。子供の教育に悪いと言われながらも人気でした。その後コンプライアンスという言葉を耳にするようになると、自主規制で誤解を招く恐れがあるもの、傷つく人が居る恐れがあるものなど、表現が避けられました。
 
今、私たちの社会は、率直に伝え合うことから遠ざかり、リスクを恐れて発言できない世の中に向かっているのでしょうか。自分が傷つかない表現に他人の言葉を変換してくれる「表現変換機能つき耳栓」を全ての人が装着する奇妙な社会に行きつくのでしょうか。
 
私は皆がお互いに尊敬し合い、恐れず発言し、学び合い、譲り合いながら皆が調和するバランスを探し続ける社会の方が健康的と感じます。感じたことが間違いだとか、病だとする社会に喜びが溢れるとは思えないのです。
 
自分の感じたことを、感じたタイミングで、率直に伝え合えば、重大になる前に学び合える機会も得られるし、自ら気がついて自然と調和するかもしれません。この調和は同調圧力ではなく、安心して表現できるという積み重ねの上で、尊敬をもって議論を尽くし、和する状態だと私は考えています。
 

・安心して表現できる社会に近づけていく
 
「自分の感じたことを、安心して表現できる社会」「多角的な情報を交換できる豊かな地域」これらの軸で、目の前の課題を照らすと、どう解決したら良い未来に近づくのかアイデアが見えてくるかもしれません。皆さんも、これらの軸を使ってご友人と目指す方向について伝え合う機会を持っていただけたら嬉しいです。
 

成田 リュウジ
Narita Ryuji
目指す方向を伝え合う事が大切|成田 リュウジ
所属議会
綾瀬市議会議員(神奈川県)
 
経歴
広島市立大学 情報科学部 卒業
日立グループ企業を経て技術立国日本を取り戻す商社に勤務
 
Facebook:https://www.facebook.com/ayaseshi.narita
Instagram:https://www.instagram.com/ryuji.narita
議員Blog:https://go2senkyo.com/seijika/187675/posts
勉強履歴:https://profiee.com/i/narita_ryuji

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