2024.05.18
【国会 5/14】中小企業の技術を守り、国民の資産を増やす政策を!
令和6年5月14日、神谷宗幣 参議院議員が
財政金融委員会で国会質疑を行いました。
今回は
「金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律
の一部を改正する法律案」について質疑を行いました。
以下に質疑の要点をまとめます。
1. 規制緩和のデメリットと対策について:
・規制緩和となる今回の法改正の
デメリットについて質問しました。
2. 中小企業への影響とリスク:
・非上場企業、特に中小企業の倒産増加や
経営難を指摘しました。
・今回の規制緩和がプライベートエクイティファンド
による買収を促進し、技術や特許の
海外流出リスクがあることを明らかにしました。
3. 政府による資産運用とその可能性:
・政府系ファンドの設立について質問しました。
・年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)
の例を挙げ、国民の資産運用を
政府が行うことの可能性を探りました。
4. 国民の資産運用に関する懸念:
・金融市場の開放による外国資本の影響を懸念し、
国民が安心して投資できる環境の整備を求めました。
・金融経済教育の重要性を強調し、
政府による段階的なアプローチを提案しました。
プライベートエクイティファンド
(Private Equity Fund)とは、
機関投資家や個人の投資家から集めた資金を
未上場企業に投資し経営に関与することで
企業価値を高めてIPOや売却によって
利益を得ることを目的としている投資ファンド。
動画はコチラから視聴できます。
https://www.youtube.com/watch?v=PxePV3Pn3xM
冒頭で神谷宗幣議員は、
今回の規制緩和に伴うデメリットを想定しているのか
またその予防策としてどのような対策を考えているか
質問しました。
それに対して金融庁は、
「大きなデメリットは生じないと考えている」
という答弁でした。
理由として以下が示されました。
・今回の改正法案は投資家に非上場株式への
投資機会を提供することを目的としている。
・非上場株式は評価が難しくリスクが高いため、
規制緩和の対象はプロの投資家である。
神谷議員は、デメリットとその対策についても
考えて運営するようにと要望しました。
そして規制緩和の懸念について説明しました。
プライベートエクイティファンドが
地方銀行などを介して中小企業を買収して
技術や特許が流出するリスクがあるのではないか。
その背景・根拠としては以下のようなことが挙げられます。
・今回の法改正の目的の1つとして
非上場有価証券の流通活性化が挙げられている。
・スタートアップ等が発行する証券の他に、
既存の中小企業が発行する証券も含まれている。
・コロナ期の経済政策によるダメージから
立ち直っていない中小企業が多い
(昨年から倒産が増えている)。
・電気代の高騰、人手不足と賃上げ、円安によるコスト増加、
金利の上昇など中小企業の経営難や倒産が増える条件が
揃っているのではないか。
・2021年の銀行法の改正により、経営不振にある
非上場の会社への100%出資が可能になった
(地方の中小企業の株を銀行が持てるようになった)。
今回の緩和措置によって流動性が高まる
というメリットの一方で、
海外のファンドなどが
日本の中小企業の買収を進めていくことで
日本の技術が流出するリスクは考えられないか?
と問いただしました。
金融庁の答弁は、
「今回の政策によって大きなリスクが
生じるとは考えていない。」
というものでした。
・非上場企業の株式には
取締役会での承認が必要とされる
譲渡制限が一般的であるため、
法律改正で株式流通が活性化しても
中小企業が意図しない株式譲渡は行われない。
・外国投資家が国内非上場企業の
株式を取得する場合、
外国為替及び外国貿易法により
事前届け出が必要で、
国の安全を考慮した厳格な審査が行われる。
神谷議員は、
国内技術の流出防止に配慮した制度設計を
改めて要望しました。
そして、顧客保護についての議論はあるが、
証券を持っている会社の権利保護が
議論されていない点を指摘しました。
リーマンショック後にハゲタカファンドが
日本の技術を奪ったことを念頭に、
今回の法改正で中小企業がそうしたリスクに
晒されないように対策を求めました。
海外の成長を取り込み、
国民の資産を増やすことは必要です。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は
国民の資産を運用し、
昨年は過去最高の34兆円以上の利益を上げました。
神谷議員は、
政府の資産運用立国の趣旨に賛同した上で、
日本も諸外国のように政府系ファンドを設立し、
国民の資産を運用することは
法的に可能かどうか質問しました。
答弁は以下のようなものでした。
・政府がファンドを設立・運用して
国民に運用の育成や範を示すことは望ましいが、
法的な制約や競争環境の整備が必要。
・各個人の投資方法やリスクは多様で、
国が一律に運用方法を示すのは適切でない。
・市場が機能するためには
国民の金融リテラシーが必要であり、
金融庁は金融経済教育の実施に取り組む。
神谷議員は、
金融経済教育の重要性を強調しました。
そして、
新NISAなども大きな話題になっているが、
拙速過ぎないかという懸念を示しました。
金融市場の開放はトラブルも招くし、
過度な緩和は国民の資産増加よりも
外国資本の市場参入を促進するだけ
になる懸念があります。
自由競争に任せるだけでなく、
国民が安心して
国家と一緒に投資できるような
仕組み作りや、
社会的に有意義な事業に投資した結果
リターンが得られるような
実践を通じた金融経済教育など、
政府による段階的なアプローチを
要望して質問を終えました。
詳細は動画をご視聴下さい。