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2024.08.30

水俣だからこその教育を|肥山みお

熊本県水俣市議会議員の肥山みおです。
皆さんは「水俣」に対してどのようなイメージをお持ちですか。
それが、もしも「水俣病」であるなら、私はそれを変えたいと強く思っています。
なぜなら、蘇った美しい海のある水俣、誇りある水俣を次世代に繋いでいきたいからです。
その為にも、今までの水俣病学習を改める必要があると思っています。
 
水俣だからこその教育を|肥山みお※水俣湾に面しているエコパーク水俣/親水護岸
 
1. 水俣の歩み
 
水俣病発生以前の第二次世界大戦中、水俣病の原因企業として知られているチッソ(当時は日本窒素肥料株式会社水俣工場)は軍の指示により化学肥料の他に爆薬や防弾ガラス、軍服の素材などを製造していました。
典型的な軍需工場だったため、工場は米軍機の目標となって、県下でも特に激しい空襲に見舞われました。
 
水俣だからこその教育を|肥山みお引用元:総務省のHP(水俣市における戦災の状況)
 
戦後は市民の努力により、戦前をしのぐ復興をみせました。
チッソは終戦からわずか2か月で、肥料となる硫安の生産を再開し、食糧難の中、農民達が硫安を求めて殺到したといいます。
また、工場で作られていた製品原料は、テレビ・冷蔵庫・洗濯機など国民生活を支えた三種の神器や様々な産業分野に用いられ、水俣のみならず、日本全体の工業国化と発展、国民生活の合理化・利便性を支えました。
 

この戦後復興の急速な経済成長の中で発生したのが水俣病です。
工場から海や河川に排出されたメチル水銀化合物(有機水銀)により汚染された海産物を住民が長期に渡り日常的に食べたことで水銀中毒が集団発生してしまい、健康被害、環境汚染にとどまらず、患者や地域に対する差別、偏見等も引き起こすなど、種々の問題が地域社会を疲弊させていきました。
 

2. 水俣の今
 
水俣病の公式確認から68年、かつては「死の海」と呼ばれていた水俣の海。
現在はタツノオトシゴの新種「ヒメタツ」も生息するほどの「美しい海」が水俣には広がっています。
その美しい海で獲れたシラスや太刀魚、あおさ等が食卓に並ぶ事が私たち水俣市民にとっての日常です。
この日常が取り戻せたのは、当時の水俣市民が一体となり、「海の再生」を目指し、環境問題へ取り組んできた結果だと思います。
 
水俣だからこその教育を|肥山みお引用元:運営団体NPO法人おもいでつくる水俣HP
 

一方、メディアでよく取り上げられるのが水俣病患者救済等についての話題です。
勿論、苦しんでおられる方への適切な救済は必要です。
しかし、メディアで取り上げられる度に水俣市外の方から「水俣病=汚染された海」というイメージを持たれてしまい、それに対して水俣出身の者が「水俣出身」ではなく「熊本出身」と言ったり、水俣の海で獲れた海産物を売れないリスクを減らすために産地を変えて売ったりと、水俣に対する偏見が拭われていないのも現状です。
 

3. 水俣だからこその教育
 
私が水俣に生まれたのは29年前、当時を知らない私達世代は水俣病の歴史を教訓にするため、学校で水俣病学習をしてきました。
全国においても4大公害病の一つとして水俣病学習があったかと思います。
 
では、その学びは教訓として今活かされているでしょうか、私は疑問に思っています。
 
公害を発生してはならないという教訓にはなっていると思います。
ですが、公害が発生した国の責任や企業がおかれた状況、社会背景を検証した結果を教育や報道に活かせていないのではと思うのです。
また、その公害を乗り越え、住民の手で美しい海を取り戻したことを国内へ正しい情報としての発信・伝達もできていません。
いまだに水俣に対する偏見が拭われていないのもそのためです。
 
そして、参政党がかねてより訴えている新型コロナワクチンの問題。
水俣病の諸問題が本当に教訓となっているのであれば、今の新型コロナワクチンの問題でも政府の発信は正しいのか、それを報道するメディアは根拠を検証した上での報道なのかという声があがるのではないかと思うのです。
 
(水俣市議会においては令和5年12月定例会にて「新型コロナワクチン接種に関して効果の検証を求める意見書」を提出、全会一致で可決されました。)
 

私は水俣でよく言われている「水俣病の歴史を教訓に」という言葉に歪みを感じています。
 
本当の意味で教訓とするのであれば、水俣病の原因企業側を悪者にするだけの感情論での教育ではなく、メディアリテラシーを高める等、繰り返されないための教育が必要です。
それと同時に水俣市民が「水俣出身」だと堂々と言えるような郷土愛を育む教育も必要で、そこには戦前から戦後、発展復興の為に水俣と共に歩んできたチッソの歴史を学ぶことも欠かせないのです。
 
これから、水俣は人口減少、高齢化が加速していきます。
先人達が様々な苦難を乗り越えながら築いてくださった美しい海のある水俣、誇りある水俣を次世代に繋いでいくため、水俣だからこその教育をこれから私は創っていきたいと思っています。
 

肥山 みお
Hiyama Mio
水俣だからこその教育を|肥山みお
所属議会 水俣市議会議員(熊本県)
経 歴  勇志国際高等学校 通信制 卒業
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Instagram:https://www.instagram.com/mio_chouwa

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