令和7年2月17日 藤野はるか
先月発足した第2次トランプ政権。発足当日から矢継ぎ早に報じられる政策について、政権が考えていることや、その政策に至った経緯などを知りたいと思っても、既存メディアはまったく役に立たない。たとえば現在、Xで連日トレンド入りしているUSAID(国際開発庁)の解体について、日本語だけでなく英語のメディアもトランプ大統領やイーロン・マスク氏の仕事を、ほとんど何の根拠も示さずに「狂気の沙汰」と報じている。対してネット上では、国際情勢に詳しいジャーナリストやインフルエンサーたちがホワイトハウスのホームページ、Xでのトランプ大統領、マスク氏の発信、過去のロバート・ケネディ・ジュニア氏の発信などを取り上げ、詳しく解説している。とは言え、残念ながらそのような発信は圧倒的に数が少ないが。
参考:At USAID, Waste and Abuse Runs Deep – The White House
ここでは、USAIDがいかに「国際協力」とは関係ないプロパガンダを流布していたか、そしてそのためにいかに納税者の資金を浪費していたかが詳細に説明されている。
既存メディアの英語記事を引用するばかりでは肝要なことは何ひとつ伝えられない。トランプ時代の今こそ、そしてUSAIDのことを知るにつれ、情報源にも方向転換が必要だと感じた。すなわち、今後はトランプ大統領やマスク氏、ホワイトハウスから発信される一次情報にもとづいて執筆するのが結局のところ、もっとも確実だということだ。本稿では、ネット上ですでに拡散されている以外の情報で、筆者が気になったものをいくつか紹介したい。
■トランプ大統領のツイート:
「DOGE:極左ロイターが国防総省から『大規模な社会的欺瞞』の調査のために900万ドル(約13億6000万円)以上の支払いを受けていた。今すぐ、その金を返せ!」
■上記を引用したマスク氏のツイート:
「ロイターは米国の政府機関から、これよりもはるかに多額の資金を受け取った。ただし、資金提供経路を隠すため、さまざまな下部組織や代理人を介して。これらは目下、DOGEが解明したことである。」
ロイター通信は、記者に「信頼の原則」を徹底させていることで有名だ。「信頼の原則」の1番目は「いかなるときも、特定の勢力、グループ、派閥に支配されない」というものであるが、これを体現したのが2001年の9.11についての報道だった。ロイター通信は、ほとんどの先進国メディアが実行犯を「テロリスト」と書いた中、主要メディアでは唯一「攻撃者(英:attackers)」と書いた。その理由は、「テロリスト」という表現は、あくまでもアメリカの立場に立ったものであり、その表現を採用するのは「特定の勢力に支配されない」という「信頼の原則」に反するから、というものであった。筆者はそれを知ったとき、ロイター通信とはなんと素晴らしいジャーナリスト魂を持ったメディアなのだろうと感動したものだが、なんのことはない、視聴者から見えないところで、アメリカ政府から巨額の資金を受けていたことが暴露されてしまった。
当時、ロイター通信はこの報道が原因で、欧米社会において大きな非難を浴びた。あのときはアメリカ政府から資金提供を受けていなかったから強気な報道ができたのだろうか。あるいはすでに裏では手を結んでいて、あの報道は視聴者を欺くための茶番だったのだろうか。筆者は前者であることを信じたい。
参考:Trust Principles (信頼の原則) | 日本 | トムソン・ロイター
XユーザーのElon Muskさん: 「Yes」 / X
マスク氏が短く”Yes“とだけ書いたツイートが引用していた記事は、「福祉がいかに黒人家庭を崩壊させたか」というタイトルで始まる。それによると、1960年、社会保障制度が拡大される前はひとり親家庭で育てられる黒人の子供は22%であったが、社会保障制度が拡大されたあと、1985年までに黒人の子供の67%がひとり親家庭または親のいない家庭で育てられていた。そして社会保障制度が拡大されて60年経った2016年には、73%の黒人の子供は未婚の母から出生しているという。
なぜこうなってしまうのか。それについて記事の筆者は「社会保障制度により、結婚している夫婦よりもシングルマザーに多くの補助金が支払われるため、それが婚外子を増やす原因になり、父親のいない家庭で育った子供たちは、自らの核家族を築こうとしない大人になってしまうからである」と結論付けている。
ところで我が国において、こども家庭庁の評判がすこぶる悪い。2023年には出生数が73万人、2024年には68万人程度と見込まれており、子供の自殺、不登校は右肩上がりで増えている。約7兆円といわれるこども家庭庁の予算と日本の子供の明るい未来はまさにパラドックスである。筆者としては、三原じゅん子担当大臣にマスク氏が引用したツイートを見ていただき、どう感じるか聞いてみたいところである。
XユーザーのMario Nawfalさん: 「ELON: AGENCIES MUST STICK TO WHAT CONGRESS AUTHORIZED “If Congress has created an agency, then often, if you look at the law, the law is pretty simple. The agency has a very simple task, but then that agency, over time, vastly increases its authority and starts doing things https://t.co/8r68jFHq3P」 / X
「議会が政府機関を立ち上げると、往々にして、根拠法は非常に単純なものである。政府機関は本来とても単純な役割を与えられているが、時間が経つにつれて、その権限をどんどん拡大し、議会がまったく承認していないことまでやり始めるのである。これはほぼすべての政府機関にあてはまる。政府機関からそのような余計な権限を取り上げ、縮小させるべきである。そして余計なことをせずに議会が承認したことだけに集中しろと言えばいいのである。」
これもまさに日本で起きていることではないだろうか。男女共同参画のための予算、新型コロナウイルス対策(PCR検査、ワクチン接種費用のみならず公立学校を含む公的機関におけるアクリル板購入費用まで)予算、SDGsのための予算、外国人留学生への給付金、外国人への生活保護費、コオロギ等昆虫食メーカへの補助金など思いつくまま並べても枚挙にいとまがない。
ちなみにマスク氏のこの考えは、第1次トランプ政権時の2対1ルール、すなわち「新しい規制1件につき2件の規制を廃止する」と共通する考えでもある。
参考:トランプ政権の偉業「2対1ルール」~ 数字にすると見えてくる規制廃止の経済効果~ | 参政党
トランプ大統領とマスク氏は、DOGEイニシアチブで2兆ドル(約300兆円、日本の国家予算の約3倍)の無駄な予算を削減することを公約に掲げ、それを毎日着々と遂行している。
アメリカでは「陰謀論者」呼ばわりされていたトランプ大統領とそのチームが政権を取って、国益第一、国民のための政治を始めた。そして先日、もう一人の大物「陰謀論者」、ロバート・ケネディ・ジュニア氏が正式にトランプ政権に参加した。ケネディ・ジュニア氏については筆者も1年半前に記事を書いたので、興味がある方は一読されたい。
参考:ロバート・ケネディ・ジュニア氏と著書『アンソニー・ファウチの真実』 | 参政党
国民が幸せな生活を送るためには、財源が必要だ。だから国民負担率が上がるのはやむを得ない、というレトリックが日本でもアメリカでも長年はびこってきた。それを国民がおとなしく信じて、納税してくれることで、確実に得をしている勢力がいた。だからこそ、政府機関の金の流れを突き止めて、国民のためにならないと判断されれば一気に解体するというトランプ=マスク改革が「陰謀論者」、「狂気の沙汰」というレッテルを貼られているのではないだろうか。トランプ大統領は、DOGEイニシアチブで浮いた予算は大幅な減税という形で国民に還元すると公約している。つまり、トランプ=マスク改革へのレッテル貼りは、国民に増税やむなしと信じさせ、既得権益を守りたい勢力の断末魔の叫びにも聞こえるのだ。トランプ大統領、マスク氏、ケネディ・ジュニア氏を「陰謀論者」と唱える人たちには、「陰謀」とはどういう意味の言葉なのか、もう一度冷静に考えてほしい。
政治に無関心ではいられても、無関係ではいられない。食費やガソリン代がどんどん上がるのも、店頭から米がなくなるのも、治安が悪くなるのも、日本の観光地がマナーを知らない外国人観光客であふれかえるのも、地上波テレビでネットよりも悪質なデマ報道がしばしばなされるのも、すべて政治とは切り離せないのである。それはすべてあなたの毎日の生活の一部なのだと気づくかどうかにあなたの未来もかかっている。
ほんの少し勇気を出して、日本の政治とあなたの未来を一緒に考えてみませんか。