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2025.2.21

移民政策及び外国人の受入れに伴う財政・社会負担に関する質問主意書

令和7年2月21日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。
 
『移民政策及び外国人の受入れに伴う財政・社会負担に関する質問主意書』

提出者 神谷宗幣

 これまで私は、我が国の「移民政策」と外国人労働者に関し、質問主意書を提出してきた(第二百十二回国会質問第四九号及び第八六号並びに第二百十三回国会質問第七三号及び第一九二号)。政府は内閣参質二一三第一九二号において、「「国民の人口に比して、一定程度の規模の外国人を家族ごと期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策」を「移民政策」としている」ものではない」と答弁したが、外国人労働者の受入れが実質的に「移民政策」であることは否定できない。政府は所定の要件を満たす外国人労働者を家族帯同で事実上無期限に受け入れ、「人材確保」を理由に受入れの拡大を続けている。しかし、政府は内閣参質二一二第四九号において、外国人労働者の受入れが経済に与える効果及び受入れに伴って生じる社会コストについて、「具体的な数値を試算するような取組は行っていない。」と答弁しており、外国人労働者の受入れを拡大しながら、その影響を試算しないことは無責任であると考える。

 一方、移民を受け入れてきた先進諸国では、経済・社会コストの増大を背景に政策転換が進んでいる。米国では急増する移民による財政負担・治安への影響を受け、受入制限を強化した。オランダやデンマークではEU共通の難民庇護制度からの離脱について交渉中である。スウェーデンは移民増加による社会問題を受け、自主帰国支援を導入した。カナダは短期労働者の受入削減と永住権の発給縮小を検討している。英国は純移民数の削減に向け、「五項目計画」を発表した。特に、オランダのアムステルダム大学の「Borderless Welfare State」(国境なき福祉国家)と題した報告書では、移民の財政負担は長期的に拡大し、福祉制度を圧迫すると指摘し、「福祉国家の維持と移民政策の両立は不可能」と結論付けている。

 我が国でも外国人増加による財政負担が顕著になってきている。厚生労働省の調査(「令和五年度医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査について」)によると、五十四・三%の病院が外国人患者を受け入れており、そのうち十八・三%の病院において未収金が発生し、一件当たりの未収金額が千八百四十六万円に及ぶ事案も報告されている。

 産経新聞は二〇二四年八月十九日、政府の内部資料に基づき、七つの自治体における永住資格のある外国人の税金や国民健康保険料の納付状況(令和五年十一月末時点)の調査について報じた。ある自治体では、国民健康保険料の滞納率は、日本人世帯が約九%であるのに対し、外国人世帯は約二十八%、永住者世帯は約二十九%であり、住民税の滞納率も、日本人が約四%であるのに対し、外国人は約二十%、永住者は約十八%といずれも大幅に高かった。また、別の自治体では、国民健康保険料の納付率は、日本人が約九十六%であるのに対し、外国人は約七十八%、永住者は約八十三%にとどまっていた。さらに、永住資格の申請時に住民税を納付し、許可後に再び滞納するケースも確認されたと報道されている。

 また、産経新聞は二〇二四年七月十五日、難民認定申請者のうち生活困窮者らに国が支給する「保護費」の受給者数について、二〇二三年度は前年度の約三・二倍に増加し、予算不足から補正予算が組まれたと報道した。

 このように、外国人増加による経済・社会コストは無視できない。また、災害時の外国人支援にも課題があり、避難所のルール整備、言語対応、食料支援など、十分な備えがあるのかが問われる。外国人労働者を含む外国人受入れには多くの経済・社会コストが伴うにもかかわらず、政府はその試算を行っていない。財政負担は特に試算が容易であり、その影響を明確にすることで、適切な政策判断が可能となる。先進国の政策転換を踏まえ、我が国も早急にコストの集計と政策の見直しを進めるべきである。

 以上を踏まえ、以下質問をする。

 前記のように、米国や欧州を中心とした先進諸国では、移民・難民の受入れによる財政負担の増大が明らかになり、政策転換が進んでいる。政府はこのような動向をどのように認識しているか示されたい。また、我が国も政策の効果や影響に係る調査を同様に実施し、政策の見直しを行うべきと考えるが政府の見解を示されたい。

 政府は内閣参質二一二第四九号において、「「特定技能二号の対象拡大による外国人労働者の受け入れ」に当たり、具体的な数値を試算するような取組は行っていない。」と答弁している。先進諸国の例を踏まえ、政府として早急に試算を実施すべきと考えるが政府の見解を示されたい。

 外国人労働者の受入れによる財政負担の具体的な影響を明らかにするため、外国人労働者の税や国民健康保険料の未納状況、医療費の未払状況、各種福祉給付(生活保護、児童手当、出産費用等)の受給状況を個別に調査し、公表する必要があると考えるが政府の見解を示されたい。

 二〇二三年度の保護費受給者数は前年の約三・二倍に増加し、当初予算では賄うことができず補正予算が計上された。今後、負担が更に増加する可能性があるが、政府はどのような対策を講ずるのか示されたい。また、保護費支給に関する制度の見直しを検討する考えはあるか示されたい。

 我が国は自然災害が多発する国であり、避難所のルール整備、言語対応、食料支援(ハラール食の確保等)など、外国人への適切な対応が求められる。現在、各自治体における災害時の外国人支援体制の整備状況をどの程度把握しているか示されたい。また、政府として統一的なガイドラインを策定する考えはあるか示されたい。

 右質問する。

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