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2025.4.21

日中「友好交流」を通じた地方自治体・青少年・メディア等に対する中国の統一戦線工作・影響力工作に関する質問主意書

令和7年4月21日付で下記の通り質問主意書を提出しました。
政府からの答弁があった際には、こちらに掲載いたします。

『日中「友好交流」を通じた地方自治体・青少年・メディア等に対する中国の統一戦線工作・影響力工作に関する質問主意書』

提出者 神谷宗幣

 米国を始めとする多くの民主主義国家においては、中国共産党が対外政策の中で「統一戦線工作」を戦略的手段として位置付けており、外国への影響力の拡大、世論誘導、価値観の浸透を意図した多層的な活動を展開していることが指摘されている。こうした状況の中、中国新華社通信は、令和六年十二月二十五日に北京で開催された第二回日中ハイレベル人的・文化交流対話において、王毅外交部長と岩屋外務大臣との間で「青少年交流の推進」、「初等・中等教育機関間の姉妹校提携の支援」、「観光、スポーツ、文化、メディア及びシンクタンク等を通じた広範な交流強化」など十項目にわたる「友好交流」の推進について合意がなされたことを報じている。しかし、これらの「友好交流」施策の多くが、中国共産党の統一戦線工作部門の影響下にあるとされており、こうした対日工作が日本の教育・メディア・地方自治体・民間部門にまで影響を及ぼす可能性について、政府が真摯に検討しているようには見受けられない。

 また、前記合意の第七項では、「メディアやシンクタンク間の交流・協力を強化」し、「世論と国民感情の改善に努める」旨明記されているが、世論誘導や言論空間のコントロールに関わる協力条項とも解釈され得る。そもそも、公権力が外国政府の意図に沿って世論形成に関与しようとすること自体、看過できない問題である。特に、「双方の新メディア交流と協力を支援」、「両国のポジティブな情報発信を行うネットクリエイター同士の交流を奨励」といった表現が合意に含まれているが、中国では全てのメディアが党中央委員会宣伝部の管理下にあることを踏まえれば、中国のプロパガンダ機関による我が国のSNSや言論空間への干渉につながるおそれがあり、政府はそのリスクを厳重に精査・確認すべきである。さらに、こうした交流に参加する日本側の地方自治体職員や青少年、メディア関係者に対し、中国との交流の目的が政治的影響力の行使である可能性について、事前に十分な説明や研修は行われているのかは疑問が残る。

 中国では、多くの教育機関で共産党の政治思想や政治工作の重要性が教えられているが、我が国にはそのような教育はない。国際関係の厳しさを知らぬまま中国のプロパガンダに晒され、無自覚に中国の政治工作へ取り込まれる危険性があることを、政府は十分に認識すべきである。

 以上を踏まえて、以下質問する。

 
政府は、中国共産党が進める統一戦線工作において、文化・教育・地方交流・青少年交流・メディア連携が重要なツールとして活用されているとの国際的な指摘をどのように認識しているか示されたい。

 
令和六年十二月二十五日に開催された第二回日中ハイレベル人的・文化交流対話において合意された十項目について、それらが統一戦線工作の一環として利用されるおそれに関し、リスク評価を行ったか示されたい。行っていないのであれば、その理由を示されたい。

 
特に「青少年交流」や「姉妹校提携」において、日本の児童・生徒が一方的な歴史認識や政治的価値観を押し付けられることのないよう、政府としてどのような対応策を講じているか示されたい。

 
中国との「友好交流」を進める中で、日本の地方自治体・教育機関・民間団体等が中国側の統一戦線工作に無自覚に取り込まれるリスクについて、政府としてどのような啓発や対策を講じているか示されたい。

 
中国が日本の地方自治体との姉妹都市交流や文化経済協力を通じて、結果として日本の中央政府に対する影響力行使又は中国の立場に配慮した政策的判断を促すような動きが見られるとの指摘がある。政府はこうした動きをどのように認識しているか示されたい。また、こうした動きに対する外交的及び内政的な対応方針はあるか示されたい。

 
中国との交流事業に参加する日本の地方自治体職員、教育関係者、青少年に対し、当該交流が中国の政治工作の一環として利用される可能性を踏まえた事前の説明・レクチャー・研修は実施されているか示されたい。実施されていない場合、その必要性について政府はどのように認識しているか示されたい。

 
前記合意の第七項(メディアとシンクタンク間の交流・協力の強化)について、合意内容の詳細、議事録、説明資料等を示されたい。また、同項の「世論と国民感情の改善」という表現が、日本国内のメディア報道やSNS上の言論空間に影響を及ぼす意図を含むか否かについて、政府の公式な解釈を示されたい。

 
政府又は関係機関が、前記合意の第七項に関連し、SNSプラットフォーム運営事業者(X、YouTube、TikTok等)に対して、中国にとって不都合とされる情報の制限、削除、アルゴリズム操作等を要請した事実はあるか示されたい。ある場合、その内容、対象、法的根拠を示されたい。

 右質問する。

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