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2025.8.01

黒いパネルで塗りつぶされる、ふるさとの風景|おざわ ゆうた

「東京ドーム200個分」のメガソーラー

200個分!?東京ドームに行ったことがない私でも驚愕の数字。
初議会でメガソーラーの設置面積について一般質問した際に、答弁で返ってきた数値は想像以上だったことを今でも覚えています。私の地元には台上と呼ばれる、春になると桜並木がとても綺麗な地域があるのですが、その周辺にはビッシリとメガソーラーが設置されています。写真は私の選挙時に、神谷代表と現地へ視察に行った時の写真です。地元議員全員で視察に行った時は、想像以上の規模でガッカリするしかなかったことを覚えています。「この規模のメガソーラーが、もし不法投棄されたら、、」

自然を壊して“エコ”をつくるという矛盾

「再生可能エネルギー」と呼ばれるメガソーラー。エコの名のもとに山を削り、木を伐採し、斜面を切り崩して巨大なパネルを並べる。
その結果、保水力が落ちて土砂崩れや地すべりのリスクが増すケースもあります。また、野生動物の生息域を奪ったり、地域の景観が一変することも。「自然に優しい」と言いつつ、実際には自然を痛めつけてまで設置されている現実があります。「環境にやさしい」という大義名分が、自然破壊を促進している──それはだれのための環境でしょうか。

我が西郷村で起きた出来事です。伐採で森林の保水機能が損なわれるため、防災目的で水を一時的にためる調整池を先行して造るのが許可の条件だったはずが、防災目的の調整池を先に造るという条件を無視して伐採を強行。その結果、複数回にわたって土砂が集落に流出し、田んぼや住宅が被害を受けました。調整池を作った後も、土砂が調整池の中を埋め尽くし全く機能を果たしていません。この調整池を見たときは、本当に言葉になりませんでした。金儲けのためなら、なにしてもいいの?

誰のための発電なのか? 外資による土地買収と利益の流出

「誰が設置して、誰が儲けているのか?」という構造の問題です。近年、太陽光発電事業には海外資本やペーパーカンパニーが参入しやすい環境が整っています。国の補助制度や固定価格買取制度(FIT)を利用して、発電所を作り20年間、一定価格で電力を売ることで安定した収益を得ることができる仕組みです。ところがその利益の多くは、地元に還元されることはほとんどありません。むしろ、土地だけを買い取られ、管理も杜撰。責任も不明確、トラブル時の対応も不透明というケースすら存在します。地元の山が削られ、自然が破壊されるうえに、収益は県外・国外に流出する。これを「持続可能」と呼べるのか、強い疑問を感じざるを得ません。我が西郷村も、上海電力のメガソーラーが約7割の設置面積を占めています。村への唯一のメリットは固定資産税が入ることだけです。

使い捨て? 太陽光パネルの”その後”問題

太陽光パネルは永久に使えるものではありません。一般的な寿命は20〜30年とされています。つまり今、日本中で増え続けているメガソーラーのパネルが、10〜20年後には一斉に“ごみ”になるという未来が、もう目の前に迫っているのです。しかも、太陽光パネルには鉛やカドミウムなどの有害物質が含まれているものもあります。廃棄の仕方によっては、土壌や水質の汚染につながるリスクも。現在、パネルの廃棄やリサイクルに関する制度は発展途上。「費用の積立制度」があるにはありますが、この制度では積立の開始が「設置から10年後」とされており、10年未満で事業を売却・撤退した場合、積立がされていないまま業者が消える可能性があります。つまり、廃棄費用を誰も用意しないまま、地域に“ゴミ”だけが残るリスクがあるのです。しかもその責任は国ではなく、最終的には自治体や住民が背負うことに。もう一度言います。「この規模のメガソーラーが、もし不法投棄されたら、、」

“知らないうちに”私たちが払っているお金──再エネ賦課金とは?

さらにもう一つ、私たち国民一人ひとりが“負担している”事実があります。それが「再エネ賦課金(ふかきん)」です。これは、再生可能エネルギーを電力会社が高く買い取るための費用を、電気代に上乗せされる形で我々が負担しています。家庭の電気料金明細を見ると、数百円〜千円程度の「再エネ発電賦課金」という項目がこっそり含まれているのがわかります。

つまり、

  • メガソーラー設置のために山が削られ、
  • その利益は地元には落ちず、
  • その費用は私たちが毎月払っている

という、ちょっと不思議で残念な構造ができあがっているのです。再エネ賦課金を年間1万円以上支払っていると思うと、ゾッとします。メガソーラーは我々の生活を豊かにしてくれているのでしょうか?

住民説明会の開催と周知が法的に義務化

2024年4月以降、50kW以上の太陽光新設・大規模変更時において、住民説明会の開催と周知が法的に義務化されました。私の住む地域でも半年前に新たなメガソーラー開発が行われようとしており、私はこの住民説明会に参加しました。その際、住民説明会が義務化された旨を事業者から説明されたので、その場で私は「それは住民の理解が得られないのであれば、この事業は開始できないと言うことでしょうか?」と質問した所、事業者は「いやそういうことでは、、」という返答だったので、私は畳み掛けるように「我が村にはすでにたくさんのメガソーラーがあります。村長からもこれ以上メガソーラーの設置は望まないと議会で答弁頂いています。絶対我が村でないといけない理由がないのであれば、申し訳ありませんが他でやってください!」と伝えて以降、その事業者からは動きがありません。こうした反対する意思を住民が事業者に対して、しっかり伝えていくことが地域の環境を守るためのカギになってきます。

最後に、私は声を大にして伝えたい。再生可能エネルギーという名のもとに山を削り、誰も責任を取らない仕組みを押しつけるようなメガソーラーは、もう必要ありません。日本に住む人たちの暮らしや命、そして未来の子どもたちに受け継ぐ大自然を、私は何よりも大切にしたい。黒いパネルではなく、緑と水と人の温もりが輝く未来こそ、私たちが未来に残すべきものです。
地域の未来を守り抜くために、引き続き出来ることから取り組んでまいります。


おざわ ゆうた
Ozawa Yuta

所属議会 西郷村議会議員(福島県)
経歴 福島県立光南高等学校 卒業/半導体メーカー 勤務
Instagram:https://www.instagram.com/yuuta_ozawa/

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