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2024.05.24

地盤、看板、鞄のない南九州市で議員になり、新庁舎建設問題に向き合った1年間の記録|しい千恵

こんにちは。鹿児島県南九州市議会議員のしい千恵です。
2023年12月10日の選挙で当選してから5カ月が経過しました。
私は、2023年4月に県外から南九州市に引っ越してきて、在住歴8ヶ月で市議選に挑戦し、信任を得て議員活動を行うことができています。
 
まず、知人、友人、親戚が誰1人もいない地域で、無謀な挑戦をし、どのような政治活動を積み重ねて選挙に臨んだのかをご紹介します。
 
引越しの荷ほどき終了後、地域の実情や人間性や地域情報を知ろうと努め、様々なイベントや勉強会に参加しました。情報収集は、市報に掲載される行事や、SNSで発信されるものを集め、マルシェや、地域行事に手当たり次第参加してきました。
 
その際、良好な人間関係を作っていくため、常に“橙のポロシャツを着用し、どこにでも出没する人”というイメージになるよう努めました。
 
地盤、看板、鞄のない南九州市で議員になり、新庁舎建設問題に向き合った1年間の記録|しい千恵
「いつも派手な色を着ているよね?」「いつもその色だよね?」この話が相手から言われた時が話題作りのきっかけになり、『先祖代々大事にしてきた地域の宝を守っていきたいという想いで“参政党”の活動をしているんです。ご存じですか?』と会話を楽しみながら、政治活動を地域活動の延長で継続し、人脈づくりを育んできました。
 
地域で開催される勉強会でも積極的に質問をし、“橙色のあの人は、よく質問をする人”というイメージ戦略から、話しかけやすい人という雰囲気を作っていきました。
 
7月、市の文化会館で開催された「新庁舎基本設計についての市民説明会」に参加し、ウクライナ情勢と物価高の影響で、当初45億円の計画が65億円まで上がり、建設事業費が予定より20億円増加する計画を知りました。
 
政治に挑戦する覚悟を決めていたので、これは地域の大きな課題だと感じました。
 
南九州市は、人口約32,000人の街で人口減少が激しく、近年の報道では、『消滅自治体』としてメディア報道されている地域になります。
 
昨年7月の市民説明会に参加した直後から、街の課題は何なのか、自分の目と耳で調査するよう意識してきました。
 
その後 新庁舎建設だけでなく、地域衰退や人口減少など、多角的な意見を討論していく会にしていこうという理念のもと、『南九州市と子や孫の未来を考える会』という市民団体を立ち上げ毎週末、市民で集まり意見交換と今後の市民運動について話し合いを重ねてきました。
 
市の計画では、3月議会で新庁舎の実施設計と予算を可決し、建設に着手する予定だと知りました。3月議会に間に合うように、市民でどんな動きができるか、専門家に学びに行こうという計画が12月末に決まりました。
 
年明けの2024年1月4日、市民団体の方5名と共に鹿児島大学の教授であり、政治学者の平井一臣教授のもとへ市民運動の取り組み方を学びに行きました。
 
地盤、看板、鞄のない南九州市で議員になり、新庁舎建設問題に向き合った1年間の記録|しい千恵
教授を交えた話し合いの結果、下記を同時進行で急ピッチに進めていく事が決まりました。
 
① 議会に新庁舎建設見直しの陳情を出す

② メディアを有効活用し、市民運動を広く宣伝する

③ チラシ作製とポスティングで市民に幅広く興味を持ってもらう

④ 地域集会を開き、市民運動を周知してもらう

⑤ 「住民投票条例」直接請求を目指し、署名活動を行う

⑥ 議員の「一般質問」で新庁舎問題を傍聴する

 
この直後から市民運動の熱が加速していきました。
 
1月19日、市民団体が県庁で記者会見をし、現費用での建設の是非を問う住民投票条例を目指し、署名活動を行う事を公表する。
1月28日、市内3町の6公民館で意見交換会を開き、「住民投票条例」の直接請求に向けた署名活動をお知らせする。
2月3.4日、「川辺2日市」という市最大の集客を誇る地域イベントで署名活動を開始する。
 
その後、22名の署名員の活動により、法規定では有権者の50分の1である550名の署名が集まれば良いのですが、4倍以上の2,425名の署名が20日間で集まりました。
 
2月22日、市の選管に2,425名の署名を提出し、新聞やTVで報道される。

 
地盤、看板、鞄のない南九州市で議員になり、新庁舎建設問題に向き合った1年間の記録|しい千恵
南九州市新庁舎建設賛否を問う 住民投票を市民団体が市長に直接請求(KYT 鹿児島讀賣テレビ)
 
議会では、1月30日に「新庁舎建設65億円の見直しを求める陳情書」が議長に提出され、2月14日に『特別委員会』設置、26日には陳情者、及び執行部の出席を求め審査。
3月4日に採決が取られ賛成者5名、反対者11名。賛成者少数のため、陳情は否決となりました。
新庁舎建設65億円の見直しを求める陳情に関する特別委員会(南九州市ホームページ)
 
3月議会では、私も初めて登壇し、一般質問で「新庁舎建設と人口減少に伴う財政運営の在り方」について6つの質問を取り上げ、持ち時間60分を最大に活用し、審議しました。
 
地盤、看板、鞄のない南九州市で議員になり、新庁舎建設問題に向き合った1年間の記録|しい千恵
南九州市議会中継・令和6年第2回定例会 ー 3月11日・しい千恵(リンク)
 
3月議会の当初予算、総務常任委員会の新庁舎建設計画に伴う設計案は賛成多数で、新庁舎建設は、ほぼ確定という状況になりましたが、共に歩んできた市民団体は最後まで諦めませんでした。
 
3月25日、3月議会最終日に「南九州市新庁舎建設65億円規模の現計画の是非を問う住民投票条例の制定について」特別委員会が設置され、議会閉会後も継続審議される事になりました。
 
4月4日、参考人招致、4月8日特別委員会にて、慎重に議論が重ねられました。
 
4月11日に臨時議会が招集され、記名投票にて賛成5名、反対11名となり、住民投票条例は否決となりました。
 
南九州市新庁舎建設65億円規模の現計画の是非を問う住民投票条例の制定に関する特別委員会(南九州市ホームページ)
約64億円の南九州市新庁舎建設計画 賛否問う住民投票条例案を否決 市長「2026年5月完成目指す」(TBS NEWS DIG)
 
「南九州市と子や孫の未来を考える会」の市民団体と共に歩んできた新庁舎建設の中断は叶わず、完敗でしたが、私たちの目的は「市民が政治に参加し、住民自治を盛りあげていく事」も掲げていますので、継続的にテーマを考えながら活動を行っていきます。
 
特別委員会や、一般質問、委員会などで、執行部に対し、「住民への説明が足りていない。計画の詳細は伝わっていない」と訴えてきました。その声が執行部には届いたようで、
4月号の市報やHPで、住民説明会が開催される事が発表され、5月10日~29日の期間、市内20ある全ての公民館にて、説明会が行なわれています。
 
内容としては、3月議会で決まった新庁舎建設の実施設計の概要、これまでの経緯、必要性、事業費などについて、正しく理解して頂くことを目的に開催しています。
 
「政治に参加しましょう」との声を市民団体と共に掲げながら、市民の声を市政や行政に届ける橋渡しとして、議員活動、地域活動を継続して参ります。
 
《傍聴者数》
2月26日特別委員会 39人
3月4日特別委員会 21人
3月11日一般質問 13人
3月25日本会議 12人
4月4日特別委員会 25人
4月8日特別委員会 12人
 

しい 千恵
Shii Chie
地盤、看板、鞄のない南九州市で議員になり、新庁舎建設問題に向き合った1年間の記録|しい千恵
所属議会
南九州市議会議員(鹿児島県)
 
経歴
開陽高等学校通信制過程卒業
南九州市観光ガイド
 
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